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管理職の心構え
 
(その28)事の軽重を知る

2022.10.3

「何事にも全力で取り組みなさい」と言われることがありますがこれは基本的には大切なことです。
しかし、「何事も全力ですることは、仕事のタイムマネジメントにおいては不適切」と私は考えています。
なぜなら、私たちには限られた時間しか与えられておらず、この限りある時間のなかで、次から次へと押し寄せてくる多くの仕事を処理しなければならないからです。
もちろん、入社したばかりの頃は、上司に指示された仕事には、すべてに全力を注がなければなりません。しかし、管理職になり自分で仕事の選択も重点化もできる立場になったらメリハリをつける必要があります。
会社の仕事というのは雑務の塊ですから重要度の低いものは拙速でもいいから早く終わらせ、重要な業務には全力を注がなければなりません。

私たちに与えられた時間は有限ですし体力や集中力にも限りがあります。
ですから結果に結びつくいい仕事をしようと思ったら「最小投資」で「最大効果」を求めなければなりません。
大切なのは、「どの仕事が重要なのか」を正しく見極めることです。つまり、「事の軽重」を知ることが仕事のキモなのです。
ではどういう業務が重要でどういった業務がそれほどでないかということですが、それは上司や同僚に相談したりいままでの自分の経験を参考にしたりします。ですが最後は自分で決めなくてはなりません。
そして決めた後で環境が変わったり、それがそれほど重要な業務でなかったことに気が付いたら、その時点で修正すればいいのです。
業務の優先順位付けすることは大事なのですが、さらに大事なことは一度決めるけれども状況が変わったらそのときに修正することなのです。 
日々、時間に追われているなかで、最大のパフォーマンスを上げるためには、タイムマネジメントは極めて重要です。ただ、勘違いをしてはいけません。
タイムマネジメントは、時間を管理することではなく、仕事を管理することなのです。
私は、「仕事を効率的にするにはどうすればよいのですか?」といった質問をよく受けるのですが、ほとんどの人が期待しているのは、「スケジュール管理術」「デッドライン仕事術」といったいわば小手先のスキルのことです。
しかし、いくら小手先のスキルを身に付けたところで、仕事が効率化されるわけではありません。それはそうでしょう。まったく重要ではない仕事を、最大の効率でこなしたところで何の意味もないのですから……。
ですから事の軽重を知る、すなわち業務に優先順位を付けるなど仕事の管理をすることこそタイムマネジメントの本質なのです。


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