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管理職の心構え
 
(その23)優れたイミテーションをする

2021.12.31

私は、30代前半の頃に、倒産しかけた関連会社へ3年ほど出向したことがあります。管理課長として、会社の不良債権の洗い出し、再建計画の立案、与信管理、予算制度や決裁権限制度の整備など、多忙な日々を送りました。
当時の残業時間は100時間を超えていましたが、会社が潰れそうでしたから仕方がなかったのです。
3年経って黒字になり東レに戻りました。
私は過去3年間の自分の仕事ぶりを振り返ってみましたがかなり無駄なことをしていたことに気が付きました。次から次へと仕事が発生するものですから片っ端からやっていたのです。少し立ち止まって戦略を練ったらあれほど残業する必要はなかったと反省しました。
私は東レに戻って最初にしたことは書庫の整理でした。企画の仕事は書類を作ることが仕事みたいなところがあり書類が大事なのです。
私の部署の書庫には、30年前からの経営会議や常務会の資料やさまざまなプロジェクトの資料が収納されていました。私は作業服に着替えその書庫の整理を始めました。
そして不要と判断した半分ほどの資料は捨て、残すべき資料はカテゴリー別に重要度のランキングをつけて整理していきました。そしてすべての資料のリストを作成したのです。
この作業は1ヶ月かかりました。
会社の仕事の大半は同じことの繰り返しです。会社で発生する業務の多くは以前誰かが分析して、その優れた作品を書庫に残してくれています。
書庫の整理が終わり上司から仕事を指示されると、作成したファイルリストから該当するファイルを見つけ出し、その考え方やフォーマット、着眼点などを活用します。そして、最新のデータに置き換え自分のアイディアを付け加えます。
このようなやり方をすれば仕事は早くて出来がいいに決まっています。
書庫の中にある例えば経営会議の資料は途中の落第点が付いた資料はなく、最後の一番優れた作品が残っているからです。
おそらく、すべて自分の力だけで仕事をする人の半分以下の時間で仕事は完成するはずです。会社の仕事は同じことの繰り返しですし、自分の出す知恵などたかが知れています。
先輩の優れた作品をよく読み、あるいはそのことを良く知っている人に訊き、その優れた部分を学んで応用すべきです。
すなわち、「プアなイノベーションより優れたイミテーション」ということです。
プアなイノベーションで多くの手間と時間をかけるのは非効率です。
むしろ、優れたイミテーションを積み重ねた先に、優れたイノベーションは生まれてくるのです。
「凡を極めて非凡に至る」ことこそ仕事の奥義なのです。




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