佐々木常夫 オフィシャルWEBサイト


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管理職の心構え
 
(その25)拙速を旨とする

2022.3.22

私のことを「手抜きの佐々木」と称した上司がいました。これは当たっています。
私は自分が担当していた仕事のうち「事業収益分析」「重要な企画書」「中期計画」「大型の設備投資」などの重要案件については相当突っ込んだ検討をしましたが、それほど重要ではない業務については簡単にして、上司に報告することがあったからです。
それで「手抜きの佐々木」となったわけですが、むしろ、「うまく手を抜く技術」こそが仕事をするうえで重要なのです。手抜きとはその上司一流の褒め言葉だと思っていました。
会社の仕事は山ほどあります。そして、すべての業務を完璧にするほどの時間はありませんし必要もありません。であれば、ある一定の時間内で納めるためには、それほど重要でもないテーマについては拙速でやるべきです。
例えば、上司が「ある取引先を訪問するので、その会社の概要が欲しい」と言ったとしましょう。私ならば、その程度の作業は、部下かアシスタントを使ってせいぜい30分ですませるでしょう。
ホームページで検索させ、会社概要をプリントアウトし、自分の会社との取引状況や面談する相手のプロフィールなどを調べる程度で事足りるのですから、それほど手間をかける必要はありません。
しかし、なかには、この程度の作業に自ら対応し、半日ほどかけて完璧に(見栄えもよく)仕上げる人もいます。頼んでいるほうは、そこまで要求していないのにもかかわらずです。このような仕事は「手抜き」でいいから早く報告すべきです。
ここで大事なのは、指示を出した相手が「何を望んでいるか」を正しくつかむことです。
例えば、上司が「ある会社の5年間の売上高と営業利益を調べなさい」と指示したとします。ところが、自分の手持ちの資料の中には5年間の時系列データはあるが、利益は営業利益ではなく、経常利益だったとします。このような場合、「とにかく言われたとおりにしなければならない」と、別の資料から営業利益を拾い出そうとする人がいます。
ここでちょっと待ってほしいのです。上司に「営業利益のデータはすぐ取り出せませんが、経常利益のデータならすぐ報告できます。経常利益でもいいですか」と聞けば、たいてい「それでいいよ」と言ってくれるはずだからです。上司がどんな目的のためにそのデータを欲しがっているのかを推察すれば、そういう質問が出てくるはずです。
その取引先のおおよその概要を知りたがっているのなら、その要求に合わせた作業量にしなくてはムダな仕事が膨れ上がってしまいます。
相手の意図をよく見極める力もビジネスの大事な能力です。




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