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管理職の心構え
 
(その24)仕事はその場で片付ける

2022.3.22

リポートや議事録などの書類を「後でじっくり書き上げよう」といって、後回しにしていませんか? それではスピードある効率的な仕事はできません。
私はスタッフの仕事が長かったため、経営会議などの事務局を数多く担当してきましたが、そうした会議の議事録は不十分でもよいから、とにかく必ずその日のうちに書き上げていました。1日経つとそれだけ記憶が薄くなりますから、精度も落ちるし、時間もかかってしまうからです。
プラスチック事業を担当していた時はグローバル化の真っ最中で海外プロジェクトをいくつも抱え、アメリカ、ヨーロッパ、中国と世界中を飛び回っていました。
なにしろ3年間で全世界で12件、約1000億円の設備投資を実行したのです。
毎月のように海外出張をし、毎月のように設備投資の発案書を書いていました。
そのような時期は、例えばニューヨークから日本へ戻る飛行機が離陸した後、1時間半くらいで出張レポートを書き上げていました。もし体力に余力があれば、訪問した国における設備増設の発案書の骨子も書き上げたりしていました。
本当は疲れているのでアルコールでも飲んで眠りたいところですが、そうして日本へ帰ると留守の間に溜まった多くの書類と上司が私に仕事を指示しようと待っています。
それに対応しているうちに、どんどん日は経っていきます。記憶も薄れ、出張リポートの品質は劣化していきます。
上司からある得意先のことで競争他社の販売状況など聞かれたら「おそらくこうだと思いますがもし違っていたら後で修正の報告をします」ととりあえず答えます。後で調べて答えたこととそれほど差がなかったらほっておけばいいですし、もし違っていたら訂正します。これを「これから詳しく調べて後で報告します」というと必ず後で報告しなければなりません。時間はかかりますし上司はよくわからないまま報告を待つことになります。
こうした起こったときにすぐ処理するやり方を私は「現場処理主義」と呼んでいます。
仕事は現場で片付けることがスピードアップに繋がりますし、仕事の精度も高めます。
ですから、私は何事も「現場処理主義」を勧めています。
大阪で会議をしたあと、東京へ戻る新幹線の中で会議のポイントを簡単にメモする。
来客があったり、打ち合わせをしたあと、次の仕事にとりかかる前にその内容を振り返ってメモを書く。会議が終わって自分の職場に戻ったら、その会議で議論されたことについてのメモ(もちろん会議の最中に書く)をコピーして、すぐ関係者に結論や指示を伝える、といった具合です。
自分だけではなく、部下にも「現場処理主義」を徹底させると、それだけで組織全体の仕事はグンと効率的になります。




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