(その12)結果を出す
2020.5.26
ハロルド・ジェニーンは’50年にエレクトロニクスの会社レイセオン社の副社長として、会社業績を飛躍的に伸ばした実績で’59年にITT(International Telephone and Telegraph)社長に就任。在任中に利益を7.6億ドルから170億ドルまで、14年連続増益というアメリカ企業史上空前の実績を上げ「経営の鬼神」とも言われました。
その著書である「プロフェッショナル・マネージャー」はベストセラーとなりましたが、その中で「経営者は結果を出さなくてはならない」ということを力説しています。
ちなみにジェニーンは自分のビジネス経営論を、次のようにまとめています。
「本を読むときは、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれと逆で、終わりから始めて、そこへ到達するために、できる限りのことをする」
彼は経営者は業績というただ一つの基準によって評価されると言います。
ジェニーンはITTに着任し、自分の達成すべき目標を1株当たり利益を毎年10%アップすることとしました。
そして会社のバランスシート、損益計算書、事業本部別・ユニット別の財務諸表や会計報告を丹念にチェックし現場の社員の意見を聞き、戦略を練り、実行していきました。
いまは悪評高いカルロス・ゴーンですが彼がルノーから日産の再建に来た時も同じです。
来日し、現場の実態をつぶさに分析し、クロスファンクションチームという若手課長を集めた経営改革検討チームをいくつか作り現場をよく知る社員の多くの議論を経て日産リバイバルプランを策定しました。そして1年後の黒字化、2年後の営業利益4.5%と有利子負債7000億円以下という3つのコミットメントを達成しました。彼はプラン発表の時、それができなければ自分は辞めるとまで言い切りました。
数字は経営の結果であり、企業の健康状態を測る一種の体温計ともいえます。
そしてそのことは管理職も同じでもちろん努力は大事ですが、なんといっても結果を出すことが求められます。
そのために管理職に第一に求められることは「現実把握力」です。
私は会社の中で10いくつもの赤字の会社や事業を黒字にしてきた経験がありますが、そのとき最も重要なことは、何が赤字の原因か、いま現場では何が起こっているか、顧客は何を求めているかなど現実・現場を正しく掴むことです。
それさえ掴めれば的確な対応策はおのずと現れます。
第2に必要なことは、それを絶対にやり抜くという決意と覚悟を持つことです。
プロの管理職とそうでない人の差はことに臨む態度の違いと言ってもいいのです。
そして第3は自分の所属する組織すべての人たちの力を引き出す環境を作り上げることです。
チームのメンバーにはさまざまな個性と能力を持った人がいますが、必ずしも全員がのびのび活き活き仕事をしているわけではありません。
管理職は職場で自由にものが言えたり相手を尊重したりすることで風通しの良い職場風土を作り上げその人の能力を最大限引き出さなくてはなりません。
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