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管理職の心構え
 
(その7)部下の昇格の準備をする

2020.3.7

管理職にとって、自分の部下を昇格させられるかどうかは重要な課題です。
部下本人にとって、これ以上関心のあるテーマはほとんどないと言っていいでしょう。
特に、自分の業績や能力にそこそこの自信を持っている部下の場合、しかるべき昇格がされなければ、上司に対する信頼感は失墜し、それ以後、お互いに仕事をしていく上で大きな障害になる可能性があります。そのような障害がある状況で、効率的な仕事などできるはずもありません。ですから、部下の昇格をきちんと実現することは大事な仕事なのです。
昇格を成功させるには、昇格審査の遅くても1年前からその準備をスタートさせなければなりません。なかには部下の昇格申請をしてから根回しをはじめる人もいますが、それでは手遅れです。申請が出揃った段階で、トップ層はある程度の順位づけをしていますから、根回しを聞き入れてもらえる可能性はあまりないのです。
それでは、1年前からどのように動けばいいのでしょうか? 
働きかけるターゲットは、自分の上司(部下からみると2段上の上司)と人事部です。
まず、上司対策ですが、折に触れ、部下(ここではA君と呼びます)の能力や業績をPRすることです。上司に業務報告をするときなどに、「実はこのアイデイはうちのA君が考え出したもので、彼にはこういうことを思いつく才能があるのです」とか、「今回のこのプロジェクトはほとんどA君が独力で成し遂げたのです」といった話を耳に入れることで、上司にA君の有能さをPRするのです。
次に人事部対策ですが、まず、日頃から自ら人事部と接触する機会をもつようにしておくことが大事です。気軽に声をかけられる関係をつくっておかないと、部下の昇格の根回しをしようと思っても難しいからです。
そのうえで、「来年課長に昇格できるのは私の部ではうちのA君と隣の課のB君だな」とか「まさかA君の昇格遅れはないよね」くらいの話をしておくと効果的です。

また人事評価の付け方も大事です。昇格対象の前年の人事評価は少し甘めに良い点数を付けておきます。
管理職は部下にはつい厳しく評価しがちです。厳しい評価を付けてしまうと昇格審査の時になっていくら優秀だと言っても通らないものです。
経営トップ層も人事部も、直属の上司である人間が誉める人を簡単には無視できませんし、何度も誉めていると「そういう人材なのだ」と思ってしてしまいます。
とはいっても、もちろん、能力もなく業績もあげていない人を無理やり昇格することはできません。ただ、「特別能力のある人」と「特別能力のない人」はごく少数です。
ほとんどの人は、ほぼ“ダンゴ状態”にありますので、昇格のタイミングにいる部下については戦略的にその力をPRしてあげる必要があるのです。

 




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