(その22)言葉にする
2021.12.31
私は日本企業の生産性が低い大きな理由の一つがコミュニケーションの不足だと考えています。
会社の仕事は自分一人でする「業務処理」とチームでする「情報処理」ともいえるものがあります。
その職場や人にもよりますが通常は業務処理よりチームでする情報処理が多く、そのやり方が未熟のようです。
チームで仕事をする場合は「何の目的で」「いつまで」「どの程度まで」「だれが」といったことを事前にしっかり決めておかねばなりません。
それなのに多くの場合、そうしたことが不十分なまま業務をスタートさせてしまうことがあります。
特に大型の重要な業務の場合この事前のすり合わせが大事です。
つい「阿吽の呼吸」「以心伝心」「暗黙知」などといった雰囲気で伝わるような仕方で進めてしまいがちです。
「お互いわかっているはず」という前提で仕事をスタートさせたり、具体的な作業に入ってからも節目節目で進捗状況を確認したり、状況変化に合わせ路線を変更することなどもあまり熱心ではありません。その結果、上司は簡単に仕上げて欲しいと思っている業務を部下は思い込みでその何倍もの時間をかけたりしてしまいます。
何ごとも言葉でしっかり伝える習慣を持つとともに相手がどの程度理解しているかをよく確認すべきです。
上司は「自分の考え方」「業務の意義や方向性」「必要なデータ」などを明確な言葉で、時には「文書」で伝達することに努めなければなりません。
私は会社の中で2〜3年ごとに異動しましたが、着任すると必ず「自分の仕事の取り組み方」を文書にして部下全員に発信していました。
また1年の初めには「今年の重要課題と業務方針」を部下と上司に発信していました。
一緒に仕事をするメンバーにきちんと自分の考えを伝えることは組織運営上大事なことです。
余談ですがこのことは仕事だけではなく家族の場合も同じです。一緒に生活しているのだからお互い理解しあえていると思ったら大きな間違いです。
子どもでもきちんと向き合って話を聴いてみないと何に悩んでいるのか、何を考えているのかはっきりわからないものです。
仕事は黙ってするのではなく要所要所ですり合わせよいコミュニケーションをとることで効率的に進みます。
私は仕事の効率化で最も大事なことは「コミュニケーションと信頼関係」だと思っています。
コミュニケーションというのは仕事が発生したときにその品質基準を決めてやったり、重要な業務は全部終わってから報告するのではなく、作業の途中で確認したりすることです。
また信頼関係があれば私が間違ったことをやりかけたら部下が注意してくれますしいろいろな貴重な情報が入ってきたりするのです。
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