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管理職の心構え
 
(その9)人は一度決めつける

2020.5.2

私は「ビジネスは予測のゲーム」と考えています。
例えば自分の担当する事業の予算の売上・利益が(3月決算の会社だとして)3月に出来上がったら部下に(自分にも)来年の今頃実績がどうなっているか予想し、その数字と理由を手帳かノートに書かせていました。
例えば売上高予算が100億円として、ある人は95億円と予想し、またある人は105億円と予想、実績が110億円だったとします、その数字を当てた人がいましたが、その理由が間違っていました。理由を当てた人がいましたが数字が間違っていました。
それは自分が予測していなかったことが起こったか、予測していたことがそれ以上に大きかったからです。
こういうことを機会あるたびに続けていくと予測が当たっていきます。
1年たってその予想が当ったか外れたか、それはどういう理由で外れたのかを分析する習慣をつけることは先を見通す力を養います。

また例えば私は会社で毎年誰が次の役員になるのか予想していました。
予想がはずれると「なぜそれほど仕事ができるわけではない人なのに役員になったのだろう」とか「なぜあれだけ優秀な人がならなかったのだろう」といった反省と分析をするのです。
そうすると仕事はさほどできない人でも真摯で絶対うそをつかない人だったり部下の面倒見がよかったりといった良さを持っていたりすることに気が付きます。
一方、仕事はできるがときどき約束を守らなかったり、仕事のミスを他人や部下のせいにする人だったりすることにも気が付きます。
人を判断するときは多面的に見なくてはいけないということがわかってくるのです。

社外の初対面の人と名刺交換をし、面談した後に私は名刺の裏に、会った日付と印象をメモすることにしていました。
例えば、「よく気が付くが気が弱い人」とか「話はうまいが仕事は出来ない人」といった具合に相手を決めつけていきます。
もちろん、「人を決めつける」というのはとても危険なことですが、とりあえずそう決めつけておいて、次に会ったときに、一度決めつけた印象と違うことを感じたら、そのイメージをすぐに修正するのです。
こうしたことを繰り返していくと、だいたい3回くらい会ったところで、その人の実像が明確になっていきます。
それを何も考えずにボンヤリと人に会っていては、なかなか実像に迫ることはできません。

これに対し、社内の人とは長いつきあいになるので、最初からあまり決めつけずにじっくり臨むことになりますが、それでもなるべく早くその人のことを知った方がよいことに変わりはありません。
私は、自分と少しでも自分の仕事に関係のある部署の人については、フルネームで手帳に書き出して、入社年度、出身校、出身地、性格や仕事の評価などを書き出していました。
そしてそれを機会あるごとに読み返し覚えてしまいます。
仕事をしていく上で人的情報は極めて重要であり、その人のことを早く正しく知ることは有力な武器になります。




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