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管理職の心構え
 
(その21)貢献するために働く

2021.12.31

前回のコラムでは人は「自分が成長するために働く」としましたが、人が働く理由はもう一つあります。
それは人は「何かに貢献するために働く」ということです。
人はマラソンやピアノのような趣味を通じても成長を実感できますし、仕事を通じてもそうです。どちらの成長もその人にとって大きな喜びとなります。
しかし趣味と仕事とでは、決定的に異なります。
趣味の場合は、どんなに技能を磨いたり造詣を深めても、あくまでも「自分がそれを楽しむ」というレベルで終わってしまいます。
しかし仕事の場合は自分の成長が社会に貢献することにつながっていきます。
そういう意味で仕事をするということは、人にとって最も深く貴い行為と言っていいと思います。
管理職であれば、たとえばチームリーダーとして部下を指導することは、部下の成長に貢献していることになります。また納期を守ったり、品質を向上させたりして顧客のニーズに応えることは、顧客に貢献することになります。
社会や人びとに貢献している実感を抱けることはその人にとって大きな喜びです。
人は「誰かの役に立ちたい」「誰かに必要とされたい」という欲求が、やはりこれも私たちの心の中に本能に近いものとして存在しています。
「人に尽くす」といえば私はいつもマザー・テレサを思い出します。
マザー・テレサはこの世の不幸な人たちに尽くすことを自分の使命とし、世に貢献するため全身全霊で生きましたこのようなマザー・テレサのいう貢献したいという思いを少しでも管理職が持ち合わせていれば、その組織は活き活きとしたものになります。
誰もがマザー・テレサのようにとは望むべくもありませんが、せめて自分の周囲の人たちだけでも思いやりのある人間でありたいと思います。
人に貢献するということは「利他の心を持つ」ということです。
自分の利を求める心は人間活動の原動力であり、否定できないものです。
しかしその自分の欲を自己の欲だけに留めておくのではなく他人の利も考えて行動することが特に管理職には求められます。
ただし利己利他はいつも裏腹の関係にあることを考えておかねばなりません。
会社のためという行動をとるとお客さまの利益に反することがありますし、自分の家族のためという行動をとると他の家族や地域から反発を受ける可能性があります。
そのために低いレベルの利己から離れ、より広い視点から物事を見るようにして「利己利他円満」の道を探らなくてはなりません。
自分の家族だけではなく地域のため、自分の会社だけではなく取引先のためといった利他の心をできるだけ広げ高めていくことが大切です。




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