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管理職の心構え
 
(その3)戦いを略す

2019.6.2

毛利元就は後世、戦国時代最高の知将と評されています。
安芸(現在の広島県西部)の小規模な国人領主でしたが、生き残りのため、小国ならではの様々な駆け引きを駆使しました。
それは武力を用いず、極力平和的解決を優先することでした。
長年の宿敵であった宍戸氏には娘を嫁がせ、その関係を修復したり、近隣の雄、小早川・吉川にそれぞれ三男、次男を養子に出すことで両川家を支配下に置きます。
また、大内義隆の後を襲った陶隆房に対しては、謀略で内部対立を起こさせ相手方を混乱に陥れ勝利しました。
元就の基本的スタンスは、まず置かれている現実を直視し、さまざまな方策を考慮し、その状況に合わせた最も効果的な策を選ぶこと、特筆すべきは、無用な殺し合いは避け、戦いより平和的手段を優先させたことでした。

戦略とは「戦いを略す」と書きます。
何ごとも戦いをせずに勝利する、あるいは結果を出すことが大事です。

ビジネスの中でも「戦いを略す」ことができる場面があります。
例えば一つの例は、与えられた仕事をやらないで済ますことです。
会社には多種多様な仕事があり、中には重要な仕事もあれば取るに足らない仕事もありますが、毎日のように次から次へと新しい仕事が発生してきます。
ですから管理職は仕事が生じたとき、できるだけそれをいかにしないで済ませるかを考えなくてはなりません。
過去に似たようなことをしていないか。もしあったらその経験を活かす、そのことに詳しい人がいたら自分であれこれ考えず、その人に聞きに行く。あるいはその仕事を得意としている人や部署があればそこに依頼し代わりにやってもらう。
仕事はしないで済ませられるならしないほうがいいのは当然です。

2つ目の例は、上司と考え方が違って議論するというか、相手を説得しなければならない難題が生じたりしたとします。これはある意味難しい戦いになります。
しかし、日ごろからことあるたびにきちんと報告し、相談し、連絡していれば、上司との信頼関係は十分できているでしょうし、そういう軋轢は起きにくいはずです。
仮に起こってもそういう行動をとっていれば上司からの信頼は高いでしょうから説得できる可能性は高くなります。
これが滅多に報告も相談も連絡もしていなければ、上司は様子が分からないわけで、対立や誤解なども発生するというものです。

3つ目の例はお客さまに何か依頼しなければならないことが起こったとします。
日ごろお客さまに気配りし、丁寧なサービスを心がけていれば、わざわざ出かけて行ってお願いしなくても丁寧な電話でも了解してもらえるかもしれません。
さらに出荷した製品で仮にクレームが発生しても日ごろの信頼関係で大騒ぎしないで済むかもしれません。
 戦いを略すにはそれなりの工夫と信頼関係が必要です。  




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