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佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その21)

2019.1.8

信頼口座の残高を増やさないと公的成功は実現できない


■信頼口座の残高が高いと、ミスをしても信頼は揺らがない

 第3の習慣までで「私的成功の習慣」は終わった。次の第4の習慣以降は「公的成功の習慣」に入っていく。
しっかりと身につければ、人は「自立」を果たすことができる。
そして「自立」を果たしたうえで、第4、第5、第6の習慣で目指すのは「相互依存」の段階に達することである。性格も違えば価値観も異なる他者と協力し合うことによって、より大きな成功を収めることを目指すのである。そこでさっそく第4の習慣の話を始めていきたいところだが、コヴィー氏著『7つの習慣』では、第4の習慣以降に入る前のステップとして「信頼口座の残高を高めることの大切さ」が述べられている。そのため本書でも第4の習慣に入る前に、まずは信頼口座の考え方についての解説をしておきたいと思う。信頼口座とは、銀行の預金口座の人間関係版のようなものである。
たとえば私が知人のAさんのことを親身になって考え、彼が困っている場面で助けてあげたいとする。当然Aさんの中での私の信頼口座の残高は増える。逆に彼が困っているときに私が見て見ぬ振りをしたとすれば、信頼口座の残高は大きく目減りする。前述したように第4、第5、第6の習慣は、いずれも他者と良好かつ良質な関係を築きながら、より大きな成果を上げていくための習慣だが、コヴィー氏は
「そもそも信頼口座に十分な残高がないと、他者との間でこれらの習慣を実践していくことは困難だ」
と言う。
それはそうだ。
自分が信頼していない相手から、いくら「Win ─ Winでいきましょう」と言われたところで、「何か裏があるんじゃないか」と勘ぐってしまうものである。
Win ─ Winの関係をつくりたいなら、まずは相手に自分を信頼してもらえていることが前提となる。逆に信頼口座の残高が高いと、こちらが少々ミスをしても信頼が揺らぐようなことはない。

■信頼口座への預け入れを増やすための6つの方法

 コヴィー氏は信頼口座の残高を増やすための方法には、以下の6つがあると言う。

@相手を理解する 相手の価値観や、自分に対して望んでいることを理解したうえで相手と接する。
A小さなことに気遣う 相手に対する気配りを忘れない。また礼儀を大切にする。
B約束を守る 守れない約束はしない。約束をしたらできるかぎり守る。
C期待を明確にする お互いに相手に期待していることを明確に示すことで、誤解やすれ違いが発生するのを避ける。
D誠実さを示す 人や場面によって態度を変えない。裏表のない言動を心がける。
E引き出してしまったときには心から謝る 信頼口座の残高を減らすことをしてしまった場合は、言い訳をせずに心から謝る。

ところでコヴィー氏は、信頼口座の預け入れを増やすための六つの方法以外に、
「実は無条件で相手を愛することこそが、相手に対する最大の預け入れだ」といった意味のことを述べている。何の見返りも求めず本心から無条件で愛することによって、相手は安心感を得、心が安定する。自分自身の本質的な価値、アイデンティティ、誠実さが肯定され、認められたと感じるのだ。(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P276)
私は人の心の中には、「他者のための何かをしてあげたい」という気持ちが本能として組み込まれていると思う。
だから自分の目の前に助けたい人が現れたら、その気持ちを素直に発すればいい。すると相手はあなたに感謝すると同時に、高い信頼感を寄せるようになるはずである。


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