佐々木常夫 オフィシャルWEBサイト


コラム トップへ戻る


佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その19)

2019.1.8

チームの最優先事項はメンバー全員で議論しながら決めていく


■発言しやすい雰囲気をつくり、話を引き出していく

  以前私は、もし読者のみなさんが会社の中で部長や課長を務めているのなら、「部や課のミッション・ステートメントをつくることが大切である」という話をした。ミッション・ステートメントは、「個人のミッション・ステートメント」だけではなく、「組織のミッション・ステートメント」を作成することも重要であり、かつ有効だからである。「組織のミッション・ステートメント」をつくったら、次に必要となるのは、そのミッション・ステートメントを確実に実現するために、チームとして最優先で取り組まなくてはいけない第U領域を明確にし、メンバー間で共有化すること。
「チームにとっての第U領域」が定まることによって、メンバーが目標に向かってぶれずに行動することができるようになる。「チームにとっての第U領域」を定めるときも、「チームのミッション・ステートメント」を決めるときと同じように、みんなで議論し、検証していくことが大切になる。
このときリーダーに求められるのは、メンバーが話しやすい雰囲気をつくり、彼らから話を引き出してくることである。チームの中にはいろいろなレベルの人がいる。役職的にはまだ平社員だけれども、既に課長が十分に務まるぐらいの能力や経験を備えている社員もいれば、まだ入社して間がない新入社員や若手社員もいる。大切なのは、力量的にはまだまだ未熟な新入社員や若手社員の発言にもしっかりと耳を傾けること。まだ勤務年数が浅く、組織の色に染まっていない新人や若手社員だからこそ、中堅やベテラン社員とは異なる発想で物事を見ていることがあるものである。彼らの話を聞いていると、「なるほど、そういう考え方があったのか」と、新たな気づきにつながることがよくある。 またリーダーが新人や若手の話をちゃんと聞いてあげることによって、新人や若手の中に「自分もまたチーム意思決定に参加している」という参画意識が芽生える。
その中からごく一部だとしても、自分の意見が採用になったとしたら、大きなモチベーションのアップにつながるのだ。

■「くだらない発言」が議論を活性化させる

 一方、若手や新人が話しやすい雰囲気をつくるということは、中堅やベテランの社員にとっても話しやすい雰囲気になるということでもある。
若手や新人の中には、明らかにレベルの低い発言をする人もいるが、実はレベルの低い発言が出ることが大切だったりする。ちょっと話はずれるが、私が講演会で講師を務めるとき、時々司会者の方にお願いしていることがある。講演会では最後に参加者と講師との質疑応答の時間が設けられているものだが、なかなか質問が出てこないことがある。本当は質問したいことがあっても、「こんなバカな質問をしたら、笑われるのではないか」という意識が働くために、みんな黙ってしまうのだ。
そこで私は司会者の方に「もし参加者から質問が出てこなかったから、申し訳ないのですが、あなたから私にできるだけくだらない質問をするようにしてくれませんか」とお願いしている。すると先日はある司会者の方が、「佐々木さん、血液型は何ですか?」という質問をしてきました。私が「そんなのB型に決まっているじゃないですか!」と答えたら、参加者からどっと笑いが起った。そこから会場の雰囲気が一気に和み、質問がどんどん出てくるようになった。 社内のミーティングでの新人や若手のしょうもない発言も、それと同じような効果があります。「あんなくだらない発言でも受け入れてもらえるんだ。言ってもいいんだ」ということがわかると、中堅やベテラン社員も発言がしやすくなる。そこから議論が活発化していく。そしてたくさんの意見の中から、取り上げるに値する優れた意見が出てくる。 メンバーから出てきた意見を参考にしながら、最終的な判断を下すのはリーダーの役割である。しかしメンバーがそのプロセスに参加することによって、リーダーがなぜその判断を下したのかを理解することができる。
そのぶん第U領域の共有化を深いレベルで行うことが可能になる。


その1その2その3その4その5その6その7その8その9その10その11その12その13その14その15その16その17その18その19その20その21