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佐々木常夫流・7つの習慣(その16)
2017.11.19
目標に到達したければ大事なことを後回しにしてはいけない
■なぜ私はプラスチック事業のエースを異動させたのか
第3の習慣は「私的成功の習慣」の総仕上げの習慣にあたる。 もう一度復習をしておくと、「私的成功の習慣」で目指しているのは、「依存」の状態から脱して「自立」した人間になること。そのためにコヴィー氏は、主体的でなくてはいけないと言う(第1の習慣)。そのうえで自分は人生において何を成し遂げたいのか、目標を定めることが大事だと語る(第2の習慣)。
では第3の習慣で求められることは何か。目標を定めたら、その目標を確実に実現できるようにしっかりと自分をマネジメントすることである。
私たちは雑事に忙殺されているうちに、目標を実現するために一番大切にしなくてはいけないことを後回しにしてしまうことがよくある。というのは、大切なことほど「いつかはやらなくてはいけないけれども、今はやらなくてはいいもの」が多いからである。しかし後回しにしていたら、いつまで経っても目標を達成することはできない。
たとえば私が東レで企画の仕事のリーダーを務めていたとき、プラスチック事業の分野でエースとして活躍しているある社員がいた。彼は経験も長く、その部署の中ですっかり重宝されていた。けれども私は彼を説得したうえで、別分野の海外会社への転勤を命じた。周りの人たちは驚いていたが、私の決断は揺らがなかった。
彼は東南アジアの事業所に責任者として赴任し何百人もの現地スタッフの上に立つことになった。日本の本社にいたときには数人の部下しかいなかったわけだから、これは彼にとって大変貴重な経験になったはずである。そのため数年後に日本に戻ってきたときには、見違えるようにたくましくなっていた。
リーダーとして一番大事な仕事の一つに、部下の成長を支援することである。これはリーダーが自分のミッション・ステートメントを書くときに、最重要項目にすべき項目である。
私は彼の成長を考えたときに、「プラスチック事業という限定された仕事ではなく、もっと広い視点から物事を見る経験を積ませることが大事だ」と考えた。
もちろん海外の別事業に彼を出すことは、プラスチック事業にとっては痛手となるだろう。けれどもだからといって経験を積まされることを後回しにしていたら、彼の成長を支援することはできない。
だから私たちは、コヴィー氏が第3の習慣として「最優先事項を優先する」ことを掲げているように、「これが一番大切だ」と思っていることについては、何よりも最優先させて取り組まなくてはいけないのだ。
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