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2011年4月アーカイブ

急がれる高度部材産業の修復

今回の東日本大震災での被災地域には、自動車や電機をはじめとするメーカーに基幹部品や素材を供給する工場が集積していて、世界シェアの6~7割を生産している「ニッチトップ企業」の工場も多い。
例えば車の運転制御に欠かせないマイコンは最大手ルネサスエレクトロニクスのひたちなか市の工場の操業停止が1ヵ月半続けば世界の自動車生産の約6.5兆円が消失するといわれている。
これら高度部材の場合、たった1つの部品、1つの素材の供給が止まれば、日本全国、世界中の電機・自動車メーカーの生産がストップしてしまうことが起こりがちである(サプライチェーンの断絶)。
このため、設備の毀損規模自体は小さくても、今回の日本全体の生産へのダメージは甚大なものとなるだろう。
日本企業は誰もが同じものを作るという横並び体質から決別し小さい市場ながらオンリーワン、ナンバーワン戦略をとるというビジネスモデルの転換を図ってきたときに今回の被災が起こったとは皮肉である。
多くの付加価値の低い製品がアジア諸国に生産移転した中、日本はこうした高度部材はなんとしてでも死守しなくてはならない。
したがって、これらの工場の復旧は焦眉の急で、もし復旧に手間取れば、これら部材の生産が、これまで日本メーカーの後塵を拝していた海外メーカーに流れてしまい、二度と戻ってこない可能性がある。
東北にある「日本の宝」とも言うべき高度部材産業の集積を失えば、日本の製造業の競争力の根幹が損なわれる由々しき事態である。
幸い最近の報道によればこれらの復旧は当事者と関係者の死に物狂いの努力で急ピッチで進展しているようでこのへんのところはさすがに日本の技術力といえよう。


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自己研鑽は自腹で

私は20代30代のころ社内研修はもちろん社外の研修にもよく出かけていった。
社外の研修は会社がその費用を出し渋るので、しばしば自腹で出かけていった。自分でお金を払うことになるとなんといっても意気込みが違う。
まずどんな研修がいいのかどんな講師がいるか徹底的に調べる。そして自分が投資したお金の元をとろうと必死に講師の話に聴き入り、自分の仕事や自分の人生に何か役立つものはないかを見つけようと考え抜く。
私は40代のころは苦手な英語をマスターするため50万円ほど投じて英語ニュースを毎週送ってもらい学習したが仕事で英語を使う必要があったのである意味必死であった。
この費用を会社の出してくれた研修なら用事があれば、欠席したり、遅刻したりしても平気で、講師の話もなんとなく聴いてしまうことが多い。
私は現在、東レ経営研究所で人材育成の仕事をしているがその中に「次世代経営者育成塾」というのがあり、企業の40歳代の集まりで、2週間に1回の計8回開催している。
受講生の中でひときわ熱心な人はやはり自腹で参加した人であり自分で払っているものだから毎回出席するしグループ討論には積極的だ。
ただ面白いのは自腹で参加した人が会社にそのことを言わないケースが多いことだ。
「研修に行くってずいぶん余裕があるね」とか「そんなことをする暇があるなら会社の仕事をしたらどうだ」などと評価する上司がいるからのようだ。
もちろん人は仕事を通じて伸びてはいくが仕事以外の経験やこのような異業種交流もその人の幅を大きくしてくれることがある。
現実の職場の多くはまだまだ人を育てようという視点に欠けているようだ。


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原子力発電を考える

先週、テレビでマイケル・サンデル教授の「特別講演 大震災後の世界をどう生きるか」を見た。
日米中の若者を中心にそれぞれ10名ほどづつとサンデル教授が議論をしていった。
その中で「これから原子力発電とどう向き合うのか」という話になったとき「原子力とは決別すべきか」という問いに日本人は約半数賛成したのに対しアメリカの若者は全員反対、すなわち原子力は必要だと答えた。
日本人は毎日のように福島原発の悲惨な映像を見せつけられているしどうしても否定的になってしまうのだろう。
原子力を利用せざるを得ないと答えた人の中ではその理由としてかつて車も飛行機も危険であったが人間の知恵でその危険性を排除し上手く利用できるようになっていまや飛行機が不要という人はいなくなった。原子力もそのようにその危険性を克服すべきだ、と言う。
この議論にはやや飛躍はあるが、たしかに欧米日はともかく新興国を中心にエネルギー消費がますます増大していく中で石油や天然ガスだけでカバーしていくとなると莫大な資源を使うことになるしCo2の排出も大きくなろう。
事実、中国もインドもそれぞれ8基、6基の原発を増設中であり今回のフクシマがあってもストップしないだろう。
日本で原発と決別するといってもこれから増設するものはストップできてもすでに54基の設備を持ち全発電量の4分の1を占める原発とはおいそれと決別するわけにはいかない。
それと今後を考えるとエネルギー不足に国民が耐えられるのか、あるいはエネルギーのコスト高に耐えたれるのか、課題は多い。
今回の大災害の悲惨な結果は自然が私たちの暮らし方の根本に反省を迫っているし私たちの文明のあり方を問い直しているともいえる。
ある意味自然は私たちに何かを語りかけている。何かとはもっとエネルギーをという飽くなき欲望への警告でもあろう。


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震災地での復興に知恵を

東日本大震災による日本経済への影響をさまざまな調査機関が予測している。
主要民間調査機関が予測する2011年度の実質経済成長率は大雑把には大震災のため4-6月はマイナス成長であるが復興需要が大きく年度後半には経済成長率は取り戻していき平均で0.4%としている。
その予測の中で大きな要因は計画停電の生産への影響がどの程度かということである。
東京電力管内での全国での生産シェアは33% 出荷額で約90兆円なので仮に停電の影響が10%くれば9兆円のダメージにつながるという大ごとなことになる。
関東圏の電力不足は2011年の国内経済にとって最大のリスク要因といえる。
加えて原発事故の影響であるがこちらはあまり先を読めない状況である。
さて、たしかに東北地区の生産設備の損壊の経済全体に対する影響は軽微かも知れないがその地域にとっては工場を復旧する間に生産場所が他の地域に移ってしまい生産再開したとき供給ルートが元通りに戻ってくるのかという不安を抱えている。
その生産する製品にもよるがおそらく一度他地域へ替わってしまうと元に戻ってくる確率は低いかもしれない。
これから急ピッチで被災地は復興していくことになるがそのとき被災地に立地する企業には税制面や金融面で大きな恩典を付与するというかインセンティブを与えてやり企業の進出を促す施策を考えなくてはならない。
働く仕事がなければその土地に住む人たちの生活の基盤がなくなり地域社会が成り立たないことになる。
最近、被災された人を優先的に雇用する企業が出てきてひとつの救済策として明るいニュースになっているが企業の誘致にも元の経済力をできるだけ維持ないし拡大させるような知恵を出していかねばならない。


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今、なすべきことは

未曾有の被害をもたらした東日本大震災が起こって2週間が経とうとしている。
少しずつ復興の兆しはあるが失われたものはあまりに大きく全体経済復興プロセスは4~5年続くと考えられる。
震災が起こってから百貨店もレジャー施設もガラガラでプロ野球も開催延期は話題になったようにさまざまな行事やイベントが「被災者のことを思うと」という感情から自粛したり延期したりしている。
また何かしようとすると「いまどき不謹慎だ」と言われ中止したりしている。
震災後1週間後に娘が自分が立ち上げたエステサロンの3周年記念のパーティを相当悩んだ末開催した。
80名ほど来る予定だったが「やはりいまどきその気になれないから止めておく」と言って20名ほど欠席の連絡があったようだ。
そのパーティは(もちろん始めに亡くなった人たちへの黙祷をして)節電をしながら震災の募金をしながら行ったが、そんなパーティがあると聞いて突然の参加者もいて結局当初予定の人数となった。
そのとき大阪から駆けつけたシンガーのcifaさんが歌った「前へ前へ前へ うつむいてなんかいられない~~」は聞いていた人たちに大きな感動を与えた。
これから日本はその持ち前の互助精神のもと再建の道を苦しくも雄雄しく辿ることになるだろう。
私たちがしなくてはならないのは今自分ができることをやることではないか。
お金を出せる人は義援金を送る、ボランティアできる人は現地に出かける。しかし「被災地の人のことを思うと何もできない」というのは願い下げだ。そんなことをしても被災地の人には何のプラスも起こらない。
私は経済活動や文化活動を自粛する必要はないと思う。
被災しなかった人は節電などは必要だが普通に生活し普通の経済活動をしたら良い。
そのことが今沈滞しかけようとしている日本に貢献することに繋がるからだ。


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被災地への支援を継続して

国内外から被災地への支援の輪が広がりだした。
日本赤十字社では14日から31日までの間に阪神大震災の約4倍に当たる700億円が集まったという。どれほど多くの人が被災地の人たちを思いをかけているかということだ。
海外からでは在上海日本領事館にはすでに6億円強の義援金が集まったという。サムスンはパソコンと義援金で6億円、台湾からも20億円を越えたという。あの津波の映像は衝撃的で世界の人たちが日本に支援の手を差しのべている。
日本ではイチロー1億円などプロ野球選手の寄付が目立つが、企業では大手企業は億円単位の義援金が珍しくない。支援はお金だけではなく飲料ありパン、カップめん、オムツ、衣料などさまざまだ。
どのような災害にどれだけ出すかの判断は難しくつい同じ業界の他社を参考にするなどしているようだ。
今回の震災の復旧には20兆円は必要だといわれているがこれを日本人約1億人で負担すると一人当たり20万円という大きなものになる。
当面は国が復興国債などで対応するのだろうが不要不急の予算をカットしたり増税をしたりして凌がなくてはならない。
仮に復興費用20兆円を5年で実施するとして1年に4兆円のお金がいることになるが根拠はないができればその費用の10%、4000億円くらいは個人や会社の寄付で賄いたいものだ。
この金額は赤十字の史上最高の義援金といわれる現時点の700億円では全く不足するしこの費用は1年だけでなくその後も続くのだ。
「一度支援をされた方、追加でもう少し出してください。出そうかどうか迷っている方思い切って近くの義援金箱に少し入れてください」
日本はあまり寄付をする習慣が少ないようだが今回の震災を機会にそのような寄付文化が根付いてくれることを期待したい。


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パンダの経済効果

先週、中国から比力(ビーリー)仙女(シエンニュ)5歳のパンダが上野動物園に到着した。
最初に中国から日本にパンダが来たのは1972年、日中友好条約締結記念としてカンカンとランランであった。その後9頭のパンダが日本に送られてきてリンリンが亡くなった'08年以降上野動物園からパンダは消えてしまった。
今回は例の漁船衝突事件などで悪化した日本国内の対中感情を改善したいという中国政府の思惑が透けてみえる。
ところで今回のパンダのレンタル料として東京都が中国に支払う8000万円の金額について「いささか高い」という報道が流れている。この金額は高いのだろうか?
上野動物園の入場者を見ると、パンダが来る前年の1971年は400万人、'72年は500万人、'74年は760万人となっている。パンダがいなくなった'08年は300万人と大幅に減少した。今でも上野動物園は日本一ではあるが第2位の旭山動物園の250万人に猛迫されている。
これらの入場者数を見ると簡単には言えないもののパンダ効果はおおよそ300万人強と言えよう。
上野動物園の入場料は大人600円、中学生200円であるが小学生の来場も多いので仮に平均300円とするとそれに300万人を掛けて「パンダの経済効果(入場料だけで飲食などは除く)はざっと10億円」と言えるかもしれない。
その経済効果からみたら8000万円のレンタル料など取るに足らない金額かもしれない。
そんなお金の計算よりもパンダが到着した深夜一目パンダの車を見ようと(もちろん本物は見られない)多くの人たちが目を輝かせていた映像をテレビで見て、不愉快な話題が多い昨今、明るい話題を提供してくれるパンダに感謝したものだ。


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運命に立ち向かおう

今回の大震災は未曾有の被害をもたらし被害者の悲しみ、苦しみはどれほどかと心が痛む。
先週、長崎で原爆記念館を身見た。昨年は沖縄のひめゆりの塔を訪れどちらも過去の悲惨さを心に刻んだ。
しかし長崎も広島もそして沖縄、そして戦争で壊滅的なダメージのあった日本も時を経て多くの日本人の連携のもと見事に復興した。
それほどの例を引かなくとも人の人生はさまざまな幸、不幸が訪れることはよくある。
私は6歳で父を亡くし男の子4人をもうけていた母は27歳で未亡人になって父の代わりに朝から晩まで働き4人とも大学まで出した。
その母は愚痴を言うわけでもなくいつも笑顔を絶やさず私たちにさまざまな言葉で語りかけてくれた。その中でもっとも多くかつ幼い私たちの心に響いた言葉が「運命を引き受けよう」であった。
自分の人生で起こったことは悲しみも苦しみも幸せもすべて引き受けその中で最大の努力をし自らの人生を生きていくということだ。
私の3人の子どもの長男は自閉症という障害を持って生まれ肝硬変とうつ病を患った妻は40回もの入退院を繰り返し3度の自殺未遂をした。私はそれもひとつの運命だからそのまま受け入れようという母の言葉を支えに生きてきた。
幸い妻は回復し我が家はいま平穏無事な生活を迎えている。
この1週間さまざまな友人から震災支援で頑張る様子を知らせてきた。現場の東京電力の社員をはじめ皆死ぬ気で立ち向かっている。そうしたメールを見るたび涙を流さずにはおれないと同時に日本人の強さを改めて知った。
被災された方々に熱い連帯の気持ちを込めて伝えたい「どうか力を合わせ自分の運命に立ち向かってください」と。
そして全国の日本人みんなに「全員でこの難関を乗り切りましょう」と。


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