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急がれる高度部材産業の修復

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今回の東日本大震災での被災地域には、自動車や電機をはじめとするメーカーに基幹部品や素材を供給する工場が集積していて、世界シェアの6~7割を生産している「ニッチトップ企業」の工場も多い。
例えば車の運転制御に欠かせないマイコンは最大手ルネサスエレクトロニクスのひたちなか市の工場の操業停止が1ヵ月半続けば世界の自動車生産の約6.5兆円が消失するといわれている。
これら高度部材の場合、たった1つの部品、1つの素材の供給が止まれば、日本全国、世界中の電機・自動車メーカーの生産がストップしてしまうことが起こりがちである(サプライチェーンの断絶)。
このため、設備の毀損規模自体は小さくても、今回の日本全体の生産へのダメージは甚大なものとなるだろう。
日本企業は誰もが同じものを作るという横並び体質から決別し小さい市場ながらオンリーワン、ナンバーワン戦略をとるというビジネスモデルの転換を図ってきたときに今回の被災が起こったとは皮肉である。
多くの付加価値の低い製品がアジア諸国に生産移転した中、日本はこうした高度部材はなんとしてでも死守しなくてはならない。
したがって、これらの工場の復旧は焦眉の急で、もし復旧に手間取れば、これら部材の生産が、これまで日本メーカーの後塵を拝していた海外メーカーに流れてしまい、二度と戻ってこない可能性がある。
東北にある「日本の宝」とも言うべき高度部材産業の集積を失えば、日本の製造業の競争力の根幹が損なわれる由々しき事態である。
幸い最近の報道によればこれらの復旧は当事者と関係者の死に物狂いの努力で急ピッチで進展しているようでこのへんのところはさすがに日本の技術力といえよう。

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