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社会: 2010年9月アーカイブ

口頭より文書が効率的

先日ある研修会で働き方に関する基調講演をした。私の講演の前にある凄腕の女性社長が大変早口で講演されていた。
私は最初、この方はお客様サービスの話をするのかなと思って聴いていたが、最後になって部下とのコミュニケーションの話であった。
この方はレジュメを用意されていなかったので聴き終るまで何の話かわからなかったし講演の後1カ月経ったらその時の話が何の話だったかほとんど忘れてしまった。
私は講演のときには必ず少し詳しめのレジュメを用意することにしている。
聴講する人は講演の始まる前にレジュメを見たら今日は何の話か知ることできる。
それに私のレジュメは詳しいので講演のときメモをとる必要があまりない。さらに講演が終わって何日も経っても私がどんな話をしたかほとんど思い出すことができる。
私は会社の仕事の中でそれほど重要でない仕事はもちろん口頭で済ませてもいいと思うが重要な仕事の場合は「口頭より文書が効率的」だと考えている。
第一文書にするということは自分の考え方の整理につながるし話を聴く相手方の理解を得られやすい。
特にお客さまや上司あるいは会議などでは簡単でいいので文書で手渡した方が記憶に残るし共有化できるし誤解も生じない。その文書をコピーして部下に渡し仕事の指示もできるというメリットがある。
課長のころ私は2週間に1度上司の部長に彼が暇な時間に30分のアポイントを入れ自分の業務の報告と相談をしていたがそうした時、必ず簡単でいいから文書で事前に手渡していた。人は相手がどんな話をしたいのか事前に知ることはいわば予告編を受け取ることで心の準備ができるし、その書類を保管しておけば過去いつどんなことがあったか記録されていて仕事を進める上で役立つのである。


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ひきこもり70万人

先日の内閣府の調査によると家や自室に閉じこもって外に出ない若者の「ひきこもり」が全国で70万人と推定されその予備軍も155万人という。
その理由は「職場になじめなかった」とか「就職活動がうまくいかなかった」などが多くちょっとした環境変化についていけない若者が増えてきているようである。
会社に入ってからも「仕事が自分に合わない」「人間関係がうまくいかない」「上司とうまくいかない」などさまざまなことで悩んだり転職したりする。
かつての高度成長期では、ある意味価値観を共有するところがあってそれほど迷うことなく一生懸命仕事をしたものだが現代の若者はある意味食べるには困らない、一人っ子で親への甘えがあったり守られた世界の中で育ってきた、などの背景がありこのような環境に対応不適な人が多く出てきたのだろうか。
最近テレビを見ていたら大学に入学した学生の5%が大学生活になじめず退学するという。そのため大学によっては先生や先輩がそばについて休んだらすぐ本人に電話し話を聞いたり悩み事の相談などして退学を食い止めているとのことだった。
落ちこぼれそうになる学生をスムーズに卒業させるのにはそうしたアシストが必要ではあるが基本的には強い人間を育てるシステムを作らなくてはならない。
育ってきた環境は理解できるがそれを環境のせいにしてはならない。
例えば欧米の資産家などは子どもを育てるために、お金を持たせない、しつけを厳しくする、勉強もスポーツもさせ自由と責任を厳しく教え自分たちの財産をしっかり守っている。
日本でもゆとり教育を捨て競争させながら闘争心を高め子どもを伸ばすことにチャレンジさせる学校が話題になり入学希望が殺到しているという。
やはり家庭も学校も社会も挙げて教育問題に取り組まねばならない。


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官から民へ

先日経済週刊誌を見ていたら「霞ヶ関をぶっつぶせ」という過激なタイトルがあった。
官僚受難の時代である。
また「官から民へ」のスローガンはいつの時代も話題になる。
確かに激しい競争社会の中で結果を出すことを常に求められてきた民間会社のシステムや人材を活用するのは有効であろう。
しかしそれも程度問題であり政府関係機関の要職に何でも民間人を採用することは慎重であるべきだ。
大体民間でトップの地位に着く人にはそれほどの人材がいないという問題がある。
その企業の営業畑や生産畑でその道ひとつできた専門家が多いことやあまりに多忙な仕事をしてきたため、他の分野の知識をあまり習得しないまま昇進してきているからだ。
そのため世の中のことや組織全体の経営戦略などについていえばほとんどの会社のボードメンバーは素人である。
その会社の副社長や社長になってから初めてさまざまな分野の勉強し情報が入り経営を学ぶことになるが経営者としては即席栽培でおおかたはプロの経営者とはいい難い。
つまりその会社のことやその業界のことはよく知っているが社会全体のことは深く考えたこともないし知識も少ない人がトップになるのが実態である。
もちろん「一芸に長ずるは他にも長ずる」ということもあるがそれは相当に優秀な経営者であって一般的ではない。
官庁の人でもその組織の仕事だけしかしてきていないという民間に似たようなところはあるが仕事柄民間の人よりははるかに広い視野や経験を持つ人が少なくないことは否定できない。
それに官庁は人事ローテーションなど民間よりも計画的で人が育ちやすい環境でもある。
「官から民へ」を唱え、異分野の人を使うべきだとマスコミはしばしば主張するががたとえば新聞社などに官の人を編集委員などに採用したらといえば「とんでもない」というだろう。
世の中の仕事というのはそれなりの専門性があって誰でもいいというわけにはいかないものだ。


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高齢者の介護を誰がする

最近「介護退職」という現象が起きている。40代50代の働き盛りの人が親の介護のために会社を辞めなくてはならない事態が多くなってきた。
その数は6年前に5万人といわれたが、昨年の統計では10万人と推定されている。
認知症はつい最近まで150万人といわれていたが昨年200万人を越えたという。日本の高齢化は急速に進むのですぐ300万人になるだろうから介護退職者の数は跳ね上がっていくだろう。
かつての大家族世帯は減少し、単身世帯、二人世帯が急増中である。
子どもは結婚しても親とは同居しないから老親は夫婦二人で暮らすことになるのでどちらかが介護の必要が起こると老々介護となる。一人になって体が弱ると介護する人がいないということになる。
また年をとっても未婚の子どもが多く子どもが親の介護をするケースも多くなっているが子どもはますます結婚しにくくなる。
家族による世代間の扶助関係の衰退は目を覆うばかりで今後は大量に発生する要介護者を少数の家族が面倒見ることは次第に困難になっていくだろう。
現在、特別老人ホームの入居待機者は40万人と推定されている。
これは介護の需要に対し圧倒的に供給が不足しているからだがその背景には経営面と人材面での参入規制があることも一因とされている。介護分野には自治体、医療法人、社会福祉法人以外が参入できず、また介護福祉士の資格取得も難しいからだ。
これらについて非営利組織(NPO)や企業にも介護の仕事ができるようにしてもっと安価で効率のよいシステムを導入すべきだし、介護には単純労働の場面も多いので難しい資格などいってないでそういう仕事をしたい人にもできる体制を早急に導入すべきだろう。
ぐずぐずしていると要介護者が溢れかえりこの国はどうにもならない事態になってしまうのではないだろうか。


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