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官から民へ

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先日経済週刊誌を見ていたら「霞ヶ関をぶっつぶせ」という過激なタイトルがあった。
官僚受難の時代である。
また「官から民へ」のスローガンはいつの時代も話題になる。
確かに激しい競争社会の中で結果を出すことを常に求められてきた民間会社のシステムや人材を活用するのは有効であろう。
しかしそれも程度問題であり政府関係機関の要職に何でも民間人を採用することは慎重であるべきだ。
大体民間でトップの地位に着く人にはそれほどの人材がいないという問題がある。
その企業の営業畑や生産畑でその道ひとつできた専門家が多いことやあまりに多忙な仕事をしてきたため、他の分野の知識をあまり習得しないまま昇進してきているからだ。
そのため世の中のことや組織全体の経営戦略などについていえばほとんどの会社のボードメンバーは素人である。
その会社の副社長や社長になってから初めてさまざまな分野の勉強し情報が入り経営を学ぶことになるが経営者としては即席栽培でおおかたはプロの経営者とはいい難い。
つまりその会社のことやその業界のことはよく知っているが社会全体のことは深く考えたこともないし知識も少ない人がトップになるのが実態である。
もちろん「一芸に長ずるは他にも長ずる」ということもあるがそれは相当に優秀な経営者であって一般的ではない。
官庁の人でもその組織の仕事だけしかしてきていないという民間に似たようなところはあるが仕事柄民間の人よりははるかに広い視野や経験を持つ人が少なくないことは否定できない。
それに官庁は人事ローテーションなど民間よりも計画的で人が育ちやすい環境でもある。
「官から民へ」を唱え、異分野の人を使うべきだとマスコミはしばしば主張するががたとえば新聞社などに官の人を編集委員などに採用したらといえば「とんでもない」というだろう。
世の中の仕事というのはそれなりの専門性があって誰でもいいというわけにはいかないものだ。

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