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佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その1)

2015.4.11

 スティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』は、世の中にあまたある書籍の中でも、間違いなく最高傑作の一つである。1989年の初版の刊行以来、販売部数は全世界で3000万部に達しており、日本でも200万部を記録している。
この本は私が30代で課長になったとき部下に発信した「仕事の進め方基本10カ条」と同じようなことが書いてあるので驚いた経験がある。
しかし内容は私の「10カ条」とは違って、論理的で体系的で説得力あるもので、圧倒された記憶がある。
本書で述べられている「自分の人生に責任を持って主体的に生きる」「最優先事項を優先にする」「お互いのWin ─ Winを大切にする」といったコヴィー氏の考え方が、自分が考えてきたことと共通することが多く、強い共感を覚えた。
 自分が経験の中から感じとっていたことを、コヴィー氏が体系立てて説明していることに深く感動し、以来『7つの習慣』は、私の座右の書になった。
コヴィー氏の考える、真の成功や幸福を手に入れるために必要な習慣に突飛なものはない。
人生における成功の原理原則が書かれている本だから、むしろ、多くの人が当たり前にやっていることや、漠然と考えてきたことについて述べられている。
『7つの習慣』では、過去のさまざまな成功に関する文献の調査分析や、コヴィー氏自身の経験から導かれた、成功を収めるために必要な習慣が体系的に述べられている。
論理を一つひとつ積み上げながら丁寧に説明をしているので、説得力がある。
しかし、コヴィー氏の完訳版「7つの習慣 人格主義の回復」については、いざ読んでみたもののあまりのボリュームに、途中で挫折してしまったという人も多いと聞く。
そこで、私は、この本を私なりに解説してみたい。
一人でも多くの人が『7つの習慣』の考えを学び、実践し、自分の幸せを手に入れることを願っている。

『7つの習慣』の基本的な考え方を理解する 


仕事や家庭で、成功を手に入れたければ
まず土台となる人格を磨く



スキルやテクニックを磨くだけでは、成功は長続きしない

 スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』では、それぞれの習慣の解説に入る前に、イントロダクションとして、「7つの習慣」を実践する際に大切となる基本的な考え方が述べられている。まずそれを紹介したい。
この本が一般的なビジネス書や成功本と違うのは、コミュニケーション力や自己PR力といったスキルやテクニックを磨くだけでは、短期的な成功は手に入れられるかもしれないが、永続的な成功は得られないとしていることである。

「二面性や不誠実など人格に根本的な欠陥がありながら、人に影響を及ぼす戦術やテクニックを使って自分の思いどおりに人を動かしたり、もっと仕事の成績を上げさせたりしようとして一時的にはうまくいったとしても、長続きするわけがない。(中略)基礎となる人格の良さがあって初めて、テクニックも生きてくる。」(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P13)

 二面性を持っていたり不誠実な人でも、コミュニケーション・スキルや自己PRのテクニックを使えば、一時的には相手に良い印象を与えることが可能である。初めての取引先であれば、「彼なら一緒に仕事ができそうだ」と思われて、商談が決まることがあるかもしれない。しかし長いつきあいが始まると、そうはいかなくなる。
社内であれば、一緒に仕事をしている時間が長いため、上司や同僚はその人の人間性や実力をよく知っている。そんな中でどんなにプレゼン力を磨いて社内会議で発言をしたとしても、肝心の人間性や実力を磨くことを怠ったままでは、「どうせ薄っぺらな内容を格好をつけて話しているだけ」とか「彼は言うことは立派だけど、周りの人を引っ張っていくだけの人間力がない」と思われてしまう。
 だから永続的な成功を得るためには、成功を支える土台となる人格を磨くことが不可欠になる。社内会議や社内プレゼンで自分の意見を通したいのなら、まず土台となる人間性を磨いたうえで、その次にプレゼン力を身につければ、誰でも自分の言葉に耳を傾けてくれるようになる。
人格を磨くことは成功の第一の要素であり、スキルやテクニックは二次的な要素なのだ。
コヴィー氏は、これを「人格主義」と名づけている。そしてコヴィー氏が挙げる「7つの習慣」とは、成功を支える土台となる人格を磨くための具体的な方法について述べたものだといえる。

 

土台がしっかりしていれば、あらゆる場面で成功を得られる

 成功というと、私たちは「会社の中で出世をして社会的な地位を得る」とか「高い給料をもらって経済的に豊かになる」といったイメージを抱きがちである。
 けれども世の中には、仕事で成功したものの家庭を犠牲にしてきたために、不幸になった人もいる。また会社のトップに君臨しているものの、暴君として振る舞ってきたために信頼してくれる部下が誰もいないという孤独なリーダーもいる。
こうした人は本当の意味で人生の成功者ではない。
人格を磨くことは、すべての成功の土台となる。人格を磨くことが、リーダーとして周囲の人から信頼を得られるようになり社会的な成功の土台にもなる。そうした人は、誰からも信頼を得ることができ、社会や人々に必要とされる存在、良い影響を与えられる存在になることができるからだ。
「7つの習慣を身につけることで、リーダーとして成功をつかみたい」という人もいれば、「仕事も大事だけど、やっぱり家庭生活が一番」という人もいることだろう。
人格という土台をしっかりと固めることができれば、会社でも家庭でも地域でも、人生のあらゆる場面で成功の果実を実らせることができる。


原則中心の生き方をすることが
人格を磨くことにつながる



時代を超えて大切にされてきた人間社会の原則を知る

 コヴィー氏は、「人格を磨くことが、永続的な成功を得るための土台となる」と言う。
では「人格を磨く」というのは、具体的には何をどのようにすれば磨くことができるものなのか。この問いに対するコヴィー氏の答えは、「古今東西、時代を超えて人間社会に共通する普遍的な原則を知ったうえで、原則中心の生き方をすることが人格を磨くことにつながる」というものである。

「それは人間の成長と幸福を左右する原則であり、人類の歴史がたどってきたあらゆる文明社会に織り込まれ、長く繁栄した組織や家族の根っことなっている自然の法則である。(中略)ある社会の人々が原則をどこまで理解し、どこまで従うかによって、その社会が存続と安定へ向かうのか、逆に分裂と滅亡に至るのかが決まるのである。」(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P29 ─ 30)

 コヴィー氏は、人間社会が大切にしてきた原則の例として、公正、誠実、正直、人間の尊厳、奉仕や貢献、忍耐や励ましといったものを挙げている。確かに公正さを大切にする人や正直な人は、時代に関係なくどんな国においても信頼や尊敬を集めてきた。人間社会の普遍的な原則であるといえる。そしてこうした原則にしっかりと従っている個人や組織や社会は長く繁栄し、従わなかったそれには不幸や衰退が待っているというわけである。
 ビジネスの世界でも雪印乳業やカネボウのように、食品偽装や粉飾決算をした企業が社会的な信用を失い、市場から姿を消してしまったのはまだ記憶に新しいところだ。これは人間社会で守らねばならぬ普遍的な原則である公正さや正直であることを、ないがしろにした結果であるといえる。


幼い子どもでもわかることだが、実践するのは難しい

 私は人として生きていくうえで大切な原則は、実は多くの人がすでに幼い頃に両親から教わっていると思っている。それはたとえば「人にあったら挨拶をしなさい」、「人に手助けしてもらったらお礼を言いなさい」、「仲間はずれや弱い者いじめをしてはいけません」、「嘘をついてはいけません」といったことである。
 もちろん仕事で成功するためには、ある程度の能力や努力が必要である。けれども仮に能力や頭の良さという点では人より劣っていたとしても、きちんと時間を守ったり正直な人は、それだけで周りの人から好感を持たれ、信用される。だから親は「世の中で生きていくうえで、せめてこれだけは身につけてほしい」という思いを込めて、こうしたことを子どもに教え込むわけだ。
人間社会の原則に沿って生きていくのは、それほど難しいことではない。なぜなら、子どものころ親から教わった基本的なことを思い出して、それを守ればいいだけのことだから。
しかし実際には、この簡単であるはずのことがとても難しいようで、これがきちんと実践できている社会人は、実はあまり多くいない。
つまり人間社会の普遍的な原理というのは、単純なものなのだが、これを実際に行うのは難しいものなのだ。
ではどうすればいいか。私は結局のところ「より良く生きたい」という思いを強く持つ以外にないと思う。理性よりも本能を優先させることは、自分の成長を止め、人からの信頼も失う。だから時折自分の生き方あり方を振り返り、「これではいけない。私はもっとより良く生きていきたい」と強く思えるかどうかが、その人が原則中心の生き方ができるかどうかのカギを握る。


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