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佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その10)

2015.12.23

原則を中心に据えて
ミッション・ステートメントを書く



■「終わりから思い描く」だけではまだ不十分!?

 誰でも「自分はこういう人生を生きてみたい」とか「こんな人物になりたい」といったことを、漠然と頭の中で思い浮かべることがあるはず。けれども頭の中で思い浮かべているだけでは、なかなか実行には移せない。「思うこと」と「行動すること」の間には、大きな隔たりがある。
 なぜなら人は、思ったことはすぐに忘れてしまうものだから。遠い未来の目標よりも、今日1日やらなくてはいけないことのほうに、どうしても意識が向いてしまう。
 第2の習慣ではここまで、「終わりを思い描くことから始める」ことの大切さについて述べてきたが、しかし思ったことはすぐに忘れてしまうのが人間の習性だとするならば、終わりを思い描くだけではまだ不十分だ。
 そこでコヴィー氏は、自分が思い描いたことをミッション・ステートメントに落とし込むことを勧めている。ミッションとは「使命」、ステートメントとは「宣言」のこと。つまり自分はどのような人間になりたいのか、何をしたいのか、自分の使命とやるべきことを宣言する文章を書くのである。
 次ページのコラムは、『7つの習慣』の中で紹介されていたミッション・ステートメントの具体例である。これを読めば「ミッション・ステートメントはこんなふうに書けばいいのだな」ということがイメージできると思う。ただしコヴィー氏は、「一人ひとり個性が異なるように、個人のミッション・ステートメントも同じものは二つとない。形式も中身も人それぞれである」(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P131)と述べている。「どんな人間になるために、何を大事にして生きていくか」さえ押さえられていれば、書き方は自由でいいということ。


■ミッション・ステートメントによって、ぶれない軸ができあがる

 私もミッション・ステートメントとはちょっと性質が異なるが、毎年お正月休みに年頭所感を書いていた。自分はこれからの1年間、どんな価値観を大切にしてどのように生き、どう働くのかをA4の紙1枚に書き出す。
 これを書くのは結構手間がかかるもの。「今年はこれを大事にして生きていこう」と考えて書き始めたとしても、途中で「いや違う。もしかしたらこちらのほうが大切かもしれない」というふうに、異なる考えが頭の中に浮かんでくることがある。自分にとって本当に大切なのはどちらか、自問自答していくことが求められる。そうした中から自分が大切にしたい生き方や価値観が整理され、クリアになっていく。
 また仕事に関するテーマなど、周囲を巻き込んで取り組んでいく必要があるものについては、「自分は今年1年、こういう方針でいくからみなさんも協力をお願いする」と周りに宣言しなくてはいけない。宣言したことについては、責任が生じる。
 つまり年頭所感を書くことで「自分が大切にしている生き方や価値観」と「やるべきこと」がクリアになり、それを宣言することで「言ったことはやらなくてはいけない」という強い気持ちが生まれるわけである。
 ミッション・ステートメントを書くことの効用も、年頭所感と基本的には同じ。頭の中にあることを文章にしていく過程で、大切にしたい自分の考えや価値観が整理されていく。
またミッション・ステートメントを何度も読み返したり、他者に宣言することによって、「ぜひともこれを実行しなければいけない」という気持ちが高まっていく。
 そしてもう一つ大きいのが、自分の中にぶれない軸ができあがること。コヴィー氏は、「個人にとってのミッション・ステートメントは、国にとっての憲法のようなものだ」と言う。

「個人のミッション・ステートメントは、その人の憲法といえる。合衆国憲法と同じように、それは基本的に不変である。(中略)個人のミッション・ステートメントも、正しい原則を土台としていれば、その人にとって揺るぎない基準となる。その人の憲法となり、人生の重要な決断を下すときの基礎となる。変化の渦中にあっても、感情に流されずに日々の生活を営むよりどころとなる。それは、不変の強さを与えてくれるのだ」(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P134)

 自分としては目的地を明確に定めて生きているつもりでも、生きているといろいろなことがある。不本意な部署異動があったり、家族が病気になったりといったように、望ましくない出来事もいろいろと起きる。また社会の情勢の変化とともに人々の価値観も変わっていく。
 人はそうした外部環境の変化に翻弄され、しばしば自分でも気がつかないうちに変質してしまうことがある。最初に一歩を踏み出したときの目的地とは、いつの間にか違う目的地に向かって歩き始めているといったことがあり得る。
 けれどもミッション・ステートメントがあれば、それをよりどころにして自分の今の立ち位置と、進むべき道を確認できる。間違った方向に進みそうになったときには、ミッション・ステートメントと今の自分を照らし合わせてみることによって、軌道修正を図ることができる。ミッション・ステートメントが、自分が向かうべき目的地を示す灯台の役割を果たしてくれるわけだ。
 ただしミッション・ステートメントは、序章で話した「人間社会の普遍的な原則」を土台とし、原則から外れていない内容であることが条件となる。原則から外れたミッション・ステートメントを書いてそれを実行することは、間違った目的地に私たちを連れて行く。
 ですからミッション・ステートメントを書いたときには、原則を土台にしたものになっているかどうかという観点で、チェックをしてみることが大切である。


・佐々木常夫流・7つの習慣(その1)
・佐々木常夫流・7つの習慣(その2)
・佐々木常夫流・7つの習慣(その3)
・佐々木常夫流・7つの習慣(その4)
・佐々木常夫流・7つの習慣(その5)
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