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佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その18)

2018.7.17

スケジュールは立てることより見直しのほうが大事


■1週間単位で、最優先事項を設定していく

 自分にとっての最優先事項が決まったら、次はその最優先事項をいつ実行するかについてのスケジューリングをする必要がある。私たちはスケジューリングというと、仕事に関する計画を立てることばかりを思い浮かべがちだが、コヴィー氏は仕事、自己啓発、健康、家族などの重要事項をバランスよくスケジュールの中に組み込んでいくことが大切だと言う。
そこでコヴィー氏が勧めるのは、まずはさまざまな場面における自分の役割を洗い出してみることである。
次にそれぞれの役割ごとに、「今週の1週間でこれだけはやっておきたい」という最優先事項を2〜3個ずつ設定する。 
ちなみコヴィー氏はここで設定する役割について、「これから生涯変わらない役割でなければいけない、などと大げさに考える必要はない。次の一週間だけを考え、その七日間に時間をかけたい分野を書けばそれでいい」と言っている。
役割と最優先事項は、あくまでも「今週自分が重視すべき役割と、最優先事項は何か」という観点で考えればいいというのだ。
さて今週1週間の自分の役割と最優先事項を設定したら、その最優先事項を1週間のスケジュールの中に組み込んでいく。こうして自分がやるべきことを、バランスよく計画を立て、確実に実行することが可能になるわけだ。

■コヴィー流スケジューリング術は、実は難度が高い

 このコヴィー氏流のスケジューリング術を見たときに、もしかしたら「けっこう簡単そうだな。これだったら自分でもできそうだぞ」と思った人もいるかもしれない。しかし私から見れば、これはかなり難度が高いものであるように感じられる。
たとえば「木曜日には最優先事項としてAとBに取り組む」と決めていたとしても、急な出張が入って、その日の計画が完全に白紙になってしまうようなことが起きたりする。また会議やミーティング、商談の予定も刻々と入ってくる。
もちろん第W領域(緊急でも重要でもないこと)の案件については断ればいいし、第V領域(緊急だが重要ではないこと)の案件についても手っ取り早く済ましてしまえばいいのだが、第T領域(緊急かつ重要なこと)となるとそうはいかない。すると第T領域の案件が新しく入ってくるたびに、1週間のスケジュールをその都度ゼロから立て直さなくてはいけなくなる。
だから私はコヴィー氏流のスケジューリング術は、理想的であるけれども、多くのビジネスパーソンにとっては現実的ではないように思える。
私もコヴィー氏が言うように、その週の自分の役割と最優先事項を決めること自体はとてもよいことだと思う。「今週は第U領域の活動であるA、B、C、D、Eの五つの項目に必ず取り組むようにしよう」と、心に決めておくことは大事である。しかしそれを「何曜日の何時から何時までAの活動をする」というふうに、1週間のスケジュールの中に具体的に組み込んでおく必要はないと思う。
むしろ大切なのは、1週間の具体的なスケジュールを立てることではなく、自分が実際に取り組んだことについての実績表をつくってみることである。その日の終わりに1日を振り返り、「9時〜9時30分:メールチェック」、「9時30分〜10時:電話でアポイント」、「10時〜11時:営業課内会議」というふうに記録をとっていく。そして毎週末にその週の記録を読み返す。
実績表を読み返すときに意識しておかなくてはいけないのは大きく二つ。
一つは自分がその週に最優先事項として取り組もうと思っていたことに、きちんと取り組むことができたかどうかをチェックすること。できたこともあれば、できなかったこともあるだろう。そしてできなかったことについては、しっかりと反省することによって、「来週こそは、今週できなかった第U領域の活動にしっかりと取り組もう」という意識が強くなる。来週以降に最優先すべき事項が見えてくる。
また実績表を読み返すと、いかに自分が第T、第V、第W領域の活動に時間をとられているかを目の当たりにさせられることになる。そこでそれぞれの活動内容を振り返りながら、第U領域以外の活動にかかる時間を短縮するための方法を考えてみる。
これを毎週繰り返すことによって、第U領域の活動に対する意識が高まっていくと同時に、それ以外の活動にかかる時間を削減していくことが可能になっていく。本来自分が一番取り組むべき大切な活動に、多くの時間を注ぎ込めるようになるのだ。 
  こんなふうに書くと、私はコヴィー氏の考え方に異を唱えているように感じられるかもしれないが、そうではない。「第U領域の活動を最優先し、そのために具体的に何をやるべきかを明確にしておく」というコヴィー氏の考え方には完全に同意する。しかしそれを実践するための方法については、自分なりのやり方を見つけ出していくことが大切であるということである。


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