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佐々木常夫流・7つの習慣
 
佐々木常夫流・7つの習慣(その6)

2015.7.18

自分ができることをやっているうちに
「影響の輪」が広がっていく



■自分の力で変えられるものと、変えられないものがある

 前項で私は、「一度でいいから自分から主体的に状況に働きかけることで、状況を変えるという経験をしてみてほしい」という話をした。
 ただし物事には、自分の力で変えられるものと、変えられないものとがある。コヴィー氏は「変えられるもの」と「変えられないもの」を三つに分けて説明している。

●直接的にコントロールできる問題(自分の行動にかかわる問題)
●間接的にコントロールできる問題(他者の行動にかかわる問題)
●コントロールできない問題(過去の出来事や動かせない現実)
                  (『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P100)

 このうち「自分が直接的にコントロールできる問題」とは、本人がこれまでの習慣さえ改めれば、独力で状況を変えることができる問題のことをいう。
 私が知っているある人は、これまで着ることができていたスーツが、体重が増えて着られなくなりそうになったことをきっかけに、一念発起をしてダイエットを始めた。
そして毎日のジョギングと夕飯抜きの1日2食の食生活で、10キロのダイエットに成功したそうだ。すごい意志力だと思うが、これは自分さえ決意をして習慣を改めれば、自分の力で確実に変えることができる類いのものだ。
一方「自分ではコントロールできない問題」とは、自分の力ではどうにもならないような問題のことをいう。たとえば密かに好意を寄せていた異性に、すでに結婚を約束している恋人がいることがわかったとする。こんなときにはくよくよしても仕方がないので、きっぱりあきらめるしかない。
コヴィー氏も「自分の力ではどうにもできない問題なら、笑顔をつくり、穏やかな気持ちでそれらを受け入れて生きるすべを身につける。こうすれば、そのような問題に振り回されることはなくなる」(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P101)と述べている。
 さて難しいのは、他人の行動にかかわる問題など「自分は間接的にしかコントロールできない問題」に取り組むときである。
自分としては相手に「どうしても○○の部分の態度を改めてほしい」と思っている。けれども相手もまた自分とは違う価値観や思惑を持って生きているから、自分の思いどおりに簡単に変わってくれるようなものではない。
 しかしコヴィー氏は、「自分が直接的にコントロールできる問題」ほど容易ではないけれども、「間接的にしかコントロールできない問題」についても、影響を及ぼす方法を考えることで状況を変えることが十分に可能だという。ではコヴィー氏がいう「影響を及ぼす方法を考える」とはどういうことか。


■チームの雰囲気を変えることが、やがて社風を変えることにつながる

 コヴィー氏はまず、「関心の輪」と「影響の輪」という概念を提示している。
 人は誰でも、健康や家族のこと、趣味のこと、職場の問題や国家財政のことなど、広くさまざまなテーマについて関心を持ちながら日々生きている。
一方でまったく関心がないテーマもある。そこで自分にとって関心があるテーマと関心がないテーマを分けると、「関心の輪」をつくることができる。
 この関心の輪の中に入っているテーマの中には、自分がコントロールできるもの(自分から状況に働きかけることで、状況に影響を与えることができるもの)と、自分の力ではコントロールできないものがある。
そこで自分が影響を与えることができるテーマと、できないテーマを分けると、「関心の輪」の中に「影響の輪」が入っている図をつくってみる。
 この二つの輪のうち、より多くの時間と労力をかけるべきなのは、当然「影響の輪」の中に入っているテーマについてだ。
関心はあるけれども、自分が影響を与えることができないテーマについて思いわずらわされるのは、時間と労力のムダでしかないからだ。
 さてコヴィー氏の考え方がユニークなのはここから。「影響の輪」の中に入っているテーマに時間と労力をかけていると、「影響の輪」が少しずつ押し広げられていくというのだ。つまり自分が影響を与えられる領域が広がっていくというわけである。
 たとえばあなたが勤めている会社の社風が非常に官僚的、硬直的で「このままではうちの会社は、新しい価値を持った商品やサービスを生み出すことができなくなる。市場のニーズから取り残されてしまう」という危機感を強く抱いていたとする。
とはいえ一介の課長にすぎない自分が、会社を変えるためにできることは限られている。「会社を変える」というのは、「関心の輪」の中には入っているけれども、「影響の輪」の中には入っていないテーマであるといえるかもしれない。
 しかし会社を変えることは困難でも、自分が課長を務めている課の雰囲気なら変えることはいくらでも可能だ。あなたが課を変えることによって「あそこの課は自由闊達な雰囲気にあふれている。イノベーションがどんどん起きていて、売上や利益も伸びている」ということになれば、ほかの部署の人たちも、あなたの課に注目をし出して、あなたのやり方を自分たちも取り入れてみようということになるはず。そして最終的には、会社全体を官僚的な社風から自由闊達な社風へと変えることができるようになるかもしれない。
つまりコヴィー氏が言うように、自分が影響を与えられる輪の中に入っていることに注力することによって、「影響の輪」を広げていくことができるわけである。
 こうしたことは私自身も経験がある。経営会議や常務会などの会議に出席したときに、私はできるかぎり自分の意見を言うようにしていたが、必ずしもその意見がその場で採用されるとは限らないもの。しかしあるテーマについて首尾一貫して自分の意見を主張していると、やがて賛同してくれる人が現れる。
そして最終的には自分と同意見の人のほうが多数派となって、会社の意思決定に大きな影響を与えるようなことが起ったりする。つまり「影響の輪」が広がるわけだ。
 けれどももし私が「どうせこんなことを言ったって受け入れてもらえないだろう」と考えて何も発言しなかったとしたら、賛同者も現れないし「影響の輪」は広がらない。
 人は自分にできることは本当に限られている。でも今の自分ができる小さなことに主体的に力を注ぐことによって、小さな波を大きな波にしていくことができる。


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