仕事をする上で本を読むことが必要か よく、学校の教師や社会的に名のある人は本を読めといいます。 しかし会社の中で周りを見渡しますと仕事が出来ることとたくさん本を読むこととはあまり関係がないようです。 むしろ礼儀正しさ、誠実さ,信念や実行力があるといった態度の良し悪しや性格のほうがよほど仕事をする上で大事です。本はあまり読まないが朝から晩まで一生懸命仕事をしている人の方が会社の中で伸びていくケースが多い。 そもそも仕事のできる人は次から次へと重要な仕事を任されるから毎日大変忙しいので本を読む時間がないということもあります。
読書には批判精神が必要 本を読む上で大切なことは、そこに書いてあることが本当に真実かという冷静さでしょう。 例えば「会社は株主のものである」、「選択と集中が必須である」「'90年代は失われた10年である」といった論調は必ずしも正しくないというのはいまやほぼ常識になっていますが、ある時期はそれが当たり前として通っていたこともあります。 逆説的に言えば、本を批判精神もなくたくさん読むよりはむしろ本を読まない方が無駄なことを頭に入れないだけ傷が浅いともいえます。 私は若い頃ボストンコンサルタントグループのPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント)を読んで自分の会社の事業にその理論を当てはめ事業戦略をまとめた事がありますが、少したってから本当に馬鹿なことをしてしまったと後悔しています。 現実の企業にあって、『金のなる木』事業には投資をしないとか、『負け犬』事業はすぐ撤退すべきだなどとは実際の責任ある経営をした人ならすぐにはそんな結論を出さないのは自明の理でしょう。 自社の営業や技術の強み弱み、マーケットやコンペティターの分析を十分掘り下げ事業全体の正確な事実把握をした上でしかるべき対応策を打つことになります。そういった意味では私はPPMの理論などむしろ学ばないほうが良いくらいに思います。
優れた人格を備えた真のリーダーになるには それでは本は読んでも読まなくてもいいのでしょうか。今日のこのコラムのタイトルは本はたくさん読むが仕事にはいまひとつという人に対する一種の挑発です。 組織の中で真のリーダーとなるには人間力と実行力が欠かせません。人間力とはその人の言うことならば素直に聴きついていくという人間としての魅力です。そのためには幅広い知識や考え方、人間理解力が必要で、それは多くの本を精読することによって身に付けることができます。
メールは便利 先日、大学時代の同級会の連絡が郵送されてきて出欠の返事は電話かFAXで欲しいということであった。 私は大学時代所属していたワンゲルの同窓会の幹事をしているが、数年前から通知、返事、名簿はすべてメールである。 このような会でメールを使うか使わないかで驚くほどの差がある。後者は案内を書いて切手を貼って郵送する、住所が違っていたら戻ってくる、連絡がなければ電話か手紙で督促しなくてはならない。これらのことを幹事の秘書がしているとのこと。幹事は「この会はうちの秘書で持っている。彼女がいなければ今日こうして会うこともできない」と秘書の存在を強調する。 私のワンゲルの方はメールなので郵便代は不要だし、返事はすぐ返ってくる、住所・勤め先などの変更は簡単、だれが同窓会に出席するのか事前にわかるし、名簿は共有できる。もちろん秘書もほとんど必要ない。 即ち、情報のスピード、質量とも圧倒的な違いがある。
メールの基本は「正確さ」と「簡潔さ」 私には毎日30件ほどのメールがくるがそれを読み返事を書くのは結構時間がかかる。 毎日メールを見ていると気になることがいくつかある。 やたら写しを入れる人がいる。特にどうでも良いような集まりに欠席することを全員に写しを入れる人がいる、あんたなんか欠席しようと関係ないよと思ってしまうこともある。 「おはようございます」というメールを平気で入れる人がいる、こちらが開くのは夜かもしれないのに。メールを受け取る相手の視点になっていないからだろう。 「いつもお世話になっています」「お忙しいところ申し訳ありません」などというのはほとんど意味がない。それよりまず用件だろう。 「お元気ですか」という人がいる。そういわれたら「元気です」と答えないといけないような負担を感じる。件名に「お礼」「ご連絡」と入れる人がいるが、あとで検索する時見つけるのに苦労するので避けるべきだろう。 メールの基本は「正確さ」と「簡潔さ」であり仕事上どうでも良いこと、時候の挨拶など省くのはお互いビジネスを無駄なく効率的に進める上で鉄則である。 ときどき気の利いたメールに出会う。「このメールへの返信は不要です」「変更あるときのみ返信ください」「急ぎのメールではありませんので時間のある時お読み下さい」など。 先日ある友人に私のホームページを作成してもらったが、彼からの連絡は「佐々木常夫のホームページ1」次の連絡は「佐々木常夫のホームページ2」であり、結局 21で完成したがこのメールの検索は実に容易であり、このようなタイトルの命名は秀逸である。
メールを見ればその人の性格・能力がわかる 仕事が出来る人かどうかその人のメールを見ればすぐわかる。 まず結論から入る。「今日の午後からの中計に関する生産との打ち合わせは○○専務が急に社外との打ち合わせが入ったので延期します」などとは書かない。「本日午後の会議は延期します」理由を伝えたいのなら後から入れる。読むほうからすれば専務がどんな理由で出られないかどうでも良く、要は会議がなくなることが重要なのである。 また複数の連絡事項がある場合は箇条書きにし、おまけに「以下3点を連絡します」とくる。 なにが優れているかというと「正確」かつ「簡潔」ということで、そのため良く考えているか、相手の立場に配慮しているかということである。 だから「返事をお待ちしています」などとは書かない。どうしても返事が欲しい時は「できましたら15日ごろまでお返事をいただけるとありがたい」と具体的な日を入れる。 メールというのはたしかに連絡、報告、相談などの単なる通信手段にすぎないが、メールによって事実がきちんと伝わるか、業務を効率良く遂行できるかということにも繋がっていくことを忘れないで欲しいものである。