佐々木常夫 オフィシャルWEBサイト
プロフィール コラム リンク お問い合わせ
コラム トップへ戻る

経済: 2010年12月アーカイブ

役員報酬

先週、「正義の話」ということでサンデル博士の東大での話をした。その中でのもうひとつ議論になったものがある。 イチローは15億円稼ぐのは妥当か、オバマ大統領の35百万円の報酬は低いかというものだ。イチローは妥当だとかオバマは少なすぎるとかいろいろ意見が出た。 
それなら経営者の報酬はどうだろう。 
アメリカのCEO報酬は年間平均1330万ドル、ヨーロッパでは660万ドル、日本は150万ドルという。アメリカの経営者はヨーロッパの2倍、日本の9倍も受け取る価値があるのだろうか?聞けばアメリカの富裕層トップ1%は国の3分の1以上の資産を保有しているという。「人には成功がもたらす報酬を受け取る権利がある」というアメリカンドリームの面目躍如というところだろう。 
日本の場合は企業の業績はそのときのCEOの力量の結果とは必ずしも考えていないようだ。その企業の業績というのは長い間の従業員も含めた全員の努力と英知によってもたらされたものであってひとりそのときの経営者の手柄ではない。
現場で商品を開発し営業が販売ルートを築き、生産がコストを下げるなど多くの従業員の努力によって生じたものが多いからだろう。
経営の方向が間違っていなければ極端なことを言えばだれが経営をしてもそう変わらないということかもしれない。 
一方、ユニクロの柳井社長の報酬は3億円といわれているがあれだけの貢献からみたらこの額は低いといってもいい。また、今回の日航破綻のように経営者の能力、努力不足で経営危機になる会社があるのも事実である。
そういう意味では経営者は業績で評価されるというのもある面当たっているしその責任は極めて重いともいえる。 
しかしこういった経営者の実力がその会社の業績にダイレクトに結びつくというかその因果関係を明確にできるケースは少ないのではないか。 
それもこれも含めての役員報酬ということなのでアメリカに比して低いとはいいながら、日本の場合、現在の水準が妥当なところなのだろう。


コメント(0) | トラックバック(0) | 経済