新聞、テレビ、出版などのマスメディアはインターネットの普及により大きな転換期を迎えている。これは技術革新のなせる業であるが故になかなか抗えない現象だ。 とはいえ危惧されるのはジャーナリズムの行く末だと「ジャーナリズムが亡びる日」の著者猪熊健夫氏はいう。 ニュースはインターネットを見れば十分と言う人がいるがネット上のニュースや解説記事は既存の新聞社やテレビ局が提供したものがほとんどでありネット側は情報やコンテンツを自ら創造する能力は持っていない。 であるが故にマスメディアが崩壊していけばジャーナリズムが衰退することになる。 確かに新聞、本、雑誌などは世の中の活字離れ傾向が続き苦戦を強いられているしテレビもまた視聴率が低下傾向だ。戦後60年間新聞社もテレビ局も競争も少なく業界再編もない珍しい静かな業界であったがこれからはそうはいかなくなる。 広告収入もインターネットに侵食され減少傾向を続けておりこのままでは全国紙も地方紙も半分はなくなってしまうかもしれない。 アメリカでは新聞記者の3分の1の6000人が退職しその何割かはネットに移動し不十分ながらネットジャーナリズムが台頭してきているが日本にはその兆しはまだない インターネットがジャーナリズムを衰退させてしまうのは本末転倒である。 ジャーナリズムには「事実の発掘」とそれを「解説、分析」する機能と役割が負わされていて前者を一次情報、後者を二次情報というがネットジャーナリズムにとって致命的なネックは一次情報を収集できないということだ。一次情報を収集するにはおカネと組織力が不可欠だ。そういう意味では日本のジャーナリズムは危機的時期を迎えている。これをどう克服していくのか、多くの英知が求められる。