「もし高校野球部の女子マネジャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」は昨年ベストセラーのトップを独走しすでに270万部を超えた。
この本の後押しもありドラッカーの「マネジメント・エッセンシャル版」は100万部を超えビジネス書としては異例の売れ行きだ。
しかしこの本はなんとも難解でわかりにくい。
ドラッカーはわざわざ一般読者が理解しにくいように表現をしているのではないかと思われるほどである。
「企業の目的は利益を上げることではない。顧客の創造である」とドラッカーはいう。
しかしかつて長い間高収益を記録してきたIBMの業績が悪化し、RJRナビスコのCEOだったルイス・ガースナーが会長兼CEOになったとき彼が最初に言ったことは「いま現在のIBMに最も必要ないもの、それがビジョンだということだ」「いま最優先すべきは収益性の回復だ。会社のビジョンを掲げるのであればその第一は利益を出すことだ」であった。
「企業を経営する上で利益をあげることは経営の最低の条件で、利益も上げずにビジョンだ、顧客だ、などとご託を並べるな」ということなのだろう。
利益を上げることはたしかに企業の条件かもしれない。しかしそれは絶対の条件で顧客の創造など言う前に利益を上げなければ企業は存在できない。
それにしてもドラッカーの本を読んでほとんど理解できなかった人は私も含めおそらく90%以上いるだろう。
そのためこれは捨て置けないと考えた何人かの人がその解説本を出している。「ドラッカーの実践経営哲学」(望月譲 PHP研究所)「ドラッカーと松下幸之助」(渡邊祐介 同)「ドラッカーが「マネジメント」でいちばん伝えたかったこと」(小宮一慶 ダイヤモンド社)
これらの本を読むと「なんだそんなことか」という気になるのだがなんともドラッカーは罪作りな方である。
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