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日本人の心の源泉「論語」

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私はかって読んだ本の中で印象に残ったものや正鵠を得ていると思ったフレーズをしばしば手帳に書き留める習慣があったが最近になってその中には論語の言葉がいくつかあることに気がついた。
「学びて思わざれば則ち暗し 思うて学ばざれば則ち危うし」「これを知る者はこれを好む者にしかず これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」「性 相近し 習、相遠し」(生まれながらの素質にそれほど違いがあるわけではない。その後の習慣によって大きな差がついていく)などであるがこのような言葉が自分の生き方に大きな影響を与えてくれた書籍であることを改めて感じた。
江戸時代以降、日本人にとって「当たり前」の源泉でありつづけた古典が論語である。ここに書かれた教えの数々が日本人の文化や常識の源泉となりその教えが明治維新や大戦後の日本の経済発展の大きな原動力ともなったようだ。

最近「超訳 論語と算段」(渋沢栄一著 阿部正一郎訳 総合法令出版)と「ビジネス教養としての論語入門」(守屋淳 日本経済新聞出版社)をたまたま連続して読む機会があった。
マックスウェーバーはキリスト教・プロテスタントの宗教倫理観に基づく仕事・ビジネスによって資本主義は発達するとしたが、これは誠実かつ勤勉に仕事をすることが利潤を得ることに繋がるということである。それに対して渋沢栄一は日本の武士道精神が、特にその中核のひとつである「論語」の教えこそ日本のビジネス道の基本としなくてはならないと考えこの本を表した。国を短期間で興そうとしたときそのコアにあったのが武士道であり論語であったというのは興味深い。
また「ビジネスの教養としての論語入門」は孔子の教えがわれわれの人生にどんな影響を与えてきたかを具体的例を示しながら丁寧に解説しており論語の精神を短時間で理解したい人にはお奨めである。
それにしても人間の基本的な徳は 「知 仁 勇」とか、「一言で生涯の信条としたい言葉は"恕"である」とか「"中庸"が大事だ」とかいう言葉はいまさらながらすんなり自分の胸に飛び込んできて常識を説く孔子の偉大さを感じる本である。

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