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ノーベル賞と若者

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先日ノーベル化学賞に根岸栄一さんと鈴木章さんが受賞した。連日その栄誉をたたえる記事とともに日本の科学技術の今後を心配する解説が続いている。
つまり最近の若い人の理科系志望者が減少していることや欧米に出かけて研究をする人が少なくなったということなどである。
理科離れの背景は子どもを巡る状況として、理科科学教育の変化、自然に触れる機会の減少、子どもの好奇心、遊びの変化などがあり、また社会人を巡る状況としては科学技術に対するメディアの扱い(原子力事故や感染症など失敗例の報道)、会社での文系出身者との待遇格差などさまざまな要因があるとされている。
しかし子ども巡る状況変化は例えば教育や遊びの変化などはすべての子どもの問題であり必ずしも理科科学教育だけの問題ではない。
理系への希望者数が減っているからといって日本の理系レベルが下がるというのは早計ではないか。日本における製造業のGDP比率が20%まで減少しサービス業が増加する社会環境の中では理系が相対的に減っていくのある意味当然のことだろう。
また文系と理系では生涯収入で文系が高いといわれるが、それは商社、金融、保険などに就職し製造業に行くことが多い理系との差がでているのだろう。
おそらく製造業の同じ企業の中では文系も理系もそれほどの差はあるまい。
海外に武者修行に出る若い人が少なくなったと嘆くがこれもまた理系に限ったことではなく新入社員の半分が海外では働きたくないというデータもある。
以前は海外に行くことがある種漠然と出世の道と思われたり得るものが大きいと考えられていた。しかし最近の若い人はさまざまな情報が入ってきて海外がそれほど夢のあるところではない、海外に行っても異文化の中で苦労も多いし、帰ってきてもポストがないなどいわばインセンティブがないことに若い人が気がつき出したというのが本当のところではないか。
理系科学の心配もさることながら私のような文系のものにとっては日本でノーベル経済賞を一人も取っていないことのほうがよほど気になるのだが。

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