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正義の話

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「これからの正義の話をしよう」というマイケル・サンデル博士の書いた本がベストセラーになっている。そのサンデル博士の東大安田講堂での白熱した講義をビデオで見た。
その中で「東大入試にはちょっと点が不足する学生の父親が数十億の寄付をするといったら、その入学を認めるか」という質問に対しほとんどの学生が「フェアでないので認めない」と答えた。サンデル博士は「3000人入学するうち数人程度それを認めたら研究施設も図書館も充実されるからいいではないか」と言ったがほぼ全員NOであった。
「正義に反する」ということなのだが本当にそうだろうか?
第一そもそも学業の成績だけで入試判定することが正しいのだろうか。学生には学業以外の例えばスポーツや音楽の得意な人、ボランティア活動に熱心な学生も入学させてもいいのではないか?実社会では東大出身者はそれなりの評価は受けるが結局はペーパーテストの力だけではなく全人格的な勝負であることは誰でも知っている。
そもそも東大生の親の年収は一般の大学に比しはるかに多く家庭教師や高い受講料の塾に通えるという学業に恵まれた人たちとそうした経済力はもたない親の子とではもともとフェアな条件とはいえないのではないか?
アメリカの大学の入試判定は学業の成績だけではなくボランティアしたかどうかなどさまざまな要素を加味して決めるというし前アメリカ大統領のブッシュのように親が富裕ということで入学が認められるケースもある。
アメリカがこのような学業だけではなく多様性を重視するのはそれが結果として学生や大学にそれなりの恩恵をもたらすからだろう。
それにしてもこうした東大生の反応は日本の文化を象徴しておりそれはそれで純粋ではあるもののこの国のダイバーシティ浸透は大変なことだと思わざるを得なかった。

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