父子家庭の支援を目指す「フレンチトースト基金」の発足記念シンポジウムにパネラーとして出席したことがある。
日本には一人親家庭が140万所帯(父子家庭は17万所帯)あり次第に増え始めている。そうなった理由の20%は連れ合いの死別でありあと80%は離婚である。近年増加傾向にある離婚の増加が一人親家庭を増加させている。
そのシンポジウムに何人かのシングルファザーが来ていたが予想に反し意外に彼らが明るいのには驚いた。
確かに大変な苦労の毎日であったと推察されるが父子一体となった毎日の生活は、言い過ぎかもしれないが両親のいる家庭よりずっと幸せそうにみえた。
またシングルファザーのコミュニティサイトもあちこちで立ち上がっていてお互いの情報交換、悩みの訴え、相談ごと、エールの交換が行われていてなにやら楽しそうなのだ。
ただそのようなサイトの中に母親のいない子どものことを考えて、例えばNHKの番組「おかあさんといっしょ」というタイトルは母のない子にとって酷だから止めて欲しいという記述があった。
更にある保育園で母の日に母の似顔絵を書くのも子どもがつらいからと抗議してそれを止めさせたという。
このような行動は少しいきすぎだと思う。
母のない子はそういういう番組以外でも母と子の愛の話はたくさん目にしているだろう。
1つや2つ象徴的番組のネーミングを変えることで、子どもに情報が入らないと考えるのは早計と思う。そんなことをいっていたら、十重二十重の情報管理をしなくてはならなくなり、嫌なものは見ない、聞かないというふうになってしまわないだろうか。
そういう情報を得ながら子どもたちはつらさや厳しさを体験しつつ乗り越えて育っていくのではないか。
母のない子は母のないさびしさ故に自分が築く家庭を暖かくしたいと思うのではないか。
私は6歳で父を亡くし、その後母は朝から深夜まで働くためある意味で父も母もない家庭で育ってきたがそれ故、父親の大事さ、母親の優しさを子ども心に胸に刻んで生きてきた。
マイノリティに心配りはしなくてはならないが、だからといって共通するテーマを奪うことはないだろう。
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