会社更生手続き中の日本航空はグループ全体の3分の1に当たる1万6000人超の人員削減を目指しているという。不採算路線からの撤退や関連会社の整理を実施するということだが、それにしても大幅な削減である。
人員削減は業績不振に陥った企業のリストラの常套(じょうとう)手段ではある。
だが、いつも不思議に思うのは、そういう事態を迎える前に、なぜもっと早く効率化を進めておかなかったのかということだ。また、3分の1もの人を減らすということは、ある意味では従来はしなくてもいい仕事をしていたということでもある。
私自身、東レで幾度も不採算事業や赤字会社の再建の仕事をしてきた。人員削減を経験してしみじみ思うのは、特に営業や広報・総務・経営企画といったスタッフ業務では、本当に会社に必要な仕事や人員は現実よりはよほど少なくても済むということである。
本社スタッフの人員について、さまざまな試算をして、あるべき水準が議論されることがある。しかし、客観的基準はほとんど存在しないと私は考えている。
それは経営トップの意志で決まるのであって、トップがその機能をどれだけ必要としているかなのだ。
東レグループのある会社などは本社スタッフを1年で3分の1にしてしまった。
だからといって、その後にその会社の経営が困ったわけではなかった。
スタッフ業務というのは、古い業務を切り捨てないまま、新たな業務を増やしていくといういわば自己増殖する癖を持っているからよほど気をつけなくてはならない。それにしても、残念ながらしなくてもいい仕事、あるいはそこまでしなくていい仕事に毎日励んでいるホワイトカラーのなんと多いことか。
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