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少子化は日本人が選んだこと

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何故少子化が進むか
先日ある本を読んでいたら生みたい子どもの数は2.5人と30年前と殆ど変わらないのだそうだ。それなのに今や合計特殊出生率は1.26人で人口を維持するに必要な2.07を大幅に下回っており50年後には日本の人口は現在の1億2000万人から9000万人に減少するという。
なぜ子どもを生みたいと思っているのに生めないのだろう。
それは結婚以前の問題として結婚年齢の上昇と非婚の増加という構造問題があり、結婚してからの問題としては、子育て家庭の経済的苦しさと適切なサービスの欠如、加えて夫(あるいは職場)の理解や協力の不足などが原因と考えられる。
経済的苦しさの点では、民間の保育所に入れた場合、費用は保育料や保育ママへの支払いなどで月10万~20万円必要になる。認可保育所はずっと安くて済むのだがここが狭き門で入所できず待機している児童は、おおよそ50万~60万人と推定されている。
保育所に預けても夕方には子どもを迎えにいかなくてはならず仕事も十分にできないという保育サービスの未熟さが待っている。
加えて、依然として子育ては女性の仕事という観念があり、また職場の理解もいまひとつということで特に仕事を持つ女性にとって子育ては大変辛い仕事になっている。その結果、女性の7割が結婚・出産・育児を機に退社することになる。
保育所不足の問題など30年も前から存在しておりこんな基本的問題が未だに改善されていないなど信じられないがこの国がいかに子育てに無関心であり続けたかという証左であろう。
そういう意味では晩婚化・非婚化も含め、少子化は日本人が選んだことの結果と言える。

少子化が何故悪い
しかしながら政府が子育てより高齢者を大事にする施策を大きく変更することはあまり望めないし、職場の多忙さが競争力の源泉と考えている多くの民間企業の経営者が働き方を劇的に変える可能性も少なく、また男性サイドが子育てに積極的になるとも思えない。色々考えると日本の少子化の底流は根強くそう簡単には変わらないのではないか。
なぜ少子化によって人口が減るのが困るのか。産業界は市場が縮小したり、労働人口が減ると成長が見込めないと言うし、政治家や官僚は年金財政が破綻すると心配したりする。

本当にそうだろうか。世の中、企業は争って似たような新製品を作り、多くの宣伝をし、大量の生産物とサービスを世に供給している。ビールや飲料はどれを選んだらよいのか迷うほどの種類があり、街にはいたるところにコンビニやレストラン、美容室がある。タクシーは半分空車で走っている。日本は供給過剰社会で企業や事業所の2割や3割減ったとしてもそれほど困るとは思えないというのは暴論だろうか。

過去を振り返れと1955年からの15年間と1975年からの15年間の労働人口の伸び率はいずれも1%であったが、実質GDPはそれぞれ9.6%、4.6%であった。
技術革新などによる労働生産性が寄与したからで労働人口が増えないと経済成長ができないということでは必ずしもない。
それに人口が減ったら通勤ラッシュはなくなるし、不動産価格はきっと安くなり次の世代は住宅取得が楽になる。さらに環境問題にはプラスである。
もちろん高齢人口の増大による労働人口層の負担の増加や年金財政の悪化の問題は大きい。しかし日本人は歴史的背景の中でそういう道を選んでしまったのだ。それによって生ずる問題についてはまだまだ知恵を出していないし自らの知恵で克服していかねばならない。
人口減少の中で個々の生活者の本当の幸せを模索する中で、この国はゆっくりと違った方向へ変化していくような気がするのだが。

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