残業理由の分析
先日 厚生労働省のHPを見ていたら残業理由の調査結果がのっていた。残業理由別にデータが並んでいて 一番多いのが「そもそも所定労働時間内では片づかない仕事量だから」(業務量が多い)で60%の人が回答していた。次いで多いのが「自分の仕事をきちんと仕上げたいから」(自分の仕事)という理由で42%、第3位は「仕事の性格上 所定外でないと出来ない仕事があるから」(仕事の性格)で36%、と続く これらの理由はどちらかといえば、会社や仕事の状況から残業せざるを得ないという理由である。
一方「残業手当や休日手当を増やしたいから」は4%で「定時で帰るより働いている方が楽しいから」は1%しかないことから「自分の都合で残業する人は 会社や仕事の都合で残業する人よりかなり少ない」と結論づけていた。
これらについて私の考えは以下の通りである。
まず「業務量が多い」が圧倒的に多い回答だが、業務量が多ければ減らせばいいのである。何度も言うが「仕事のタイムマネジメントと言うのは 最も重要なことは何かを正しく掴むこと」である。
「その人のプライオリティの高い順番に抱えている仕事の20%を遂行すれば、その人の全体の仕事量の80%に到達する(仕事のパレートの法則)」つまり業務量が多ければ 重要度の低い仕事を捨てることだ。
次に多い回答が「自分の仕事をきちんと仕上げたい」と言うことだが、そういう人には「きちんと仕上げなくて良い」というのが答えである。
会社にはつまらない仕事でもやらねばならない業務が多い。
その場合業務の達成度 (完成度) を低くして短時間で済ませることが大事である。
自分の仕事の見栄のために残業するなど会社にとっては迷惑千万である。「無駄なことをしないでとっとと帰ってくれ」と言いたいところだ。
この報告書の誤り
それからこの報告書の結論には大きな誤りがある。
それは残業手当を理由にした人は4%、家に帰るより会社にいる方が楽しいからは1%であるから「自分の都合で残業する人はほとんどいない」としていることだ。
私が課長になったとき、課員全員に原則残業禁止を言い渡したときの最大の抵抗勢力は部下であった。
その理由は3つある。
1つは「こんなに重要な仕事をしているのにそれを止めて帰れと言うのですか」ということ、2つ目はそれまで私の課の平均残業時間は50時間を越えていたため残業代が巨額でそれが彼らの生活設計になっていた。残業手当のことは皆口には出さないが残業する大きな理由だった。そして3つ目は「家に早く帰ってもする事がないから」である。
1つ目の理由は「私は課長として今、君がしている仕事は重要だと思っていないのでやめて帰りなさい」で終る問題であり、この点については部下の自主性などに任せず、管理職は毅然としてその権限を行使しなくてはならない。
2つ目の残業手当についてこの調査では「わずか4%としかないから主たる理由にはならない 」としたこの調査責任者の感受性のなさは驚くべきことだ。だれしもこのような調査に対し残業手当が理由です などと書くわけがない。
その組織全体の業務について責任を持っている管理職ならいざ知らず、残業しても残業代を払わないといわれて残って仕事をする若い担当者はほとんどいまい。
そして極めて大きな問題は3つ目の「家に帰ってもする事がない」と考える特に男性社員の人生観、生活態度である。
つまり彼らは ほとんど家庭や家族にコミットしていないのだ。
即ち「私 仕事してお金稼ぐ人、妻 家事育児をする人」というような考えを持っている人であり、そんな人は早く帰って家事や育児をしようなどとはじめから思っていない。
そういう意味で たしかに「定時で帰るより働いている方が楽しいから」ということには当たらないが「定時で帰ってもやる事もないから会社にいる」ということであってそれはとりもなおさず「働いているほうがよいから」という意味で「自分のためにしている」ということになる。こういう人間は会社にとって実に迷惑な存在であり定時に帰すよう あの手この手で追い出さねばならない。
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