ワークライフバランスに冷ややかな経営者
10月26日、永田町の全国町村会館で「男の働き方を変えよう」というシンポジウムに4人のパネラーのうちの1人として出席しました。男性の参加者は少ないのではないかという私の予想に反して会場一杯の参加者、それも多くの男性の姿がありました。
司会者が「この中で業務として来た人」と聞いた時、約半数の人が手を挙げました。
日本の会社でもワークライフバランス、女性の活用、両立支援に関心を持ち始めたということでしょう。
パネラーの中の1人は2005年日本の合計特殊出生率1.26という数字をあげ、男性が会社の仕事ばかりして家庭を省みないため、女性に育児負担が集中することが少子化の1つの原因になっていると力説していました。私以外の3人のパネラーのうち2人は子育てのため転職したりして家族との触れ合いの時間を自ら作り出していました。
ワークライフバランスについては行政からの提案、各企業での試行錯誤、個人の具体的な行動などさまざまな試みがされていますが、多くの企業はなかなか重い腰をあげようとしませんし賛同する男性社員も多くはいません。
何故でしょう。経営者や会社の管理者層の多くが「職場の多忙は日本企業の競争力の源泉」「寝てもさめても仕事を考えることを経て人は育つ」と考えていますし、また、「非正規社員の穴を埋めるのは正規社員」「育児支援などは企業のコストアップ」と考えているようです。本当にそうでしょうか。
経営戦略としてのワークライフバランス
なぜ今ワークライフバランスなのかといいますとひとつは長時間労働を強いられる(自らする?)人たちは肉体的にも精神的にも疲れ切っていて自分の時間も持てず満足感やロイヤリティが低下している状況にあります。このような人たちの集団が、この厳しい競争社会で勝ち抜けるとは思えないのです。
二つ目は、限られた時間の中ではどうしても計画的にまた効率的に業務遂行をせざるを得ないため生産性が向上するということがあります。
そして三つ目は働きやすい会社という評価や評判は優れた若い人たちの入社を誘いますし、社内で育った人材には帰属意識の醸成につながり定着率も高くなるという効果があります。
そういう意味でワークライフバランスというのはすぐれて重要な経営戦略といえます。
ただ私の場合は「ワークライフバランス」などという優雅なものではなく「ワークライフマネジメント」ともいうべきメリハリの求められる厳しい生活でしたが。
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