7人に1人がうつ病にかかる
私が「ビッグツリー」を出したあとに、私のところに寄せられた、メールや手紙の中には本人やその人の家族の病気のことを書いてくれたものがありますが、そのなかで最も多かったのはうつ病でした。
WHO(世界保健機関)の報告によれば世界の人口の3~5%がうつ病にかかるといいます。
これを日本の人口に当てはめると360万人から600万人ということになります。
しかし、それほどありふれた病気なのに正しく診断され適切な治療を受けている人は3人に1人といわれています。米国精神医学会のデータによると7人に1人は一生に一度うつ病にかかるとし、性別では女性が男性の2倍近く存在し、初発年齢は10代から20代にかけてが最も多いといいます。
最近うつ病が急増しているといいますが、最大の原因は社会環境の変化によるストレスの増大です。
パソコンなどの発達による高度情報化、核家族化、女性の社会進出、企業の人員削減、コミュニケーション能力の低下などによって様々なストレスが私たちの生活を脅かし、多くの人を苦しめています。
うつ病は心のカゼひき
今やうつ病は一般的でありふれた病気であり、初期の段階で「適切な」手を打てばかなりの人が回復します。治療法も格段に進歩しており、投薬によって短期間で治るケースもあります。
そして重要なことは病気であることを家族ともども自覚すること、できるだけ早く休息生活に入ること、などが求められます。
私も一時期会社中心の行動をとったがため、妻のうつ病の長期化を招いたと思っています。
もし初期の段階で適切な対応をしていたら、もっと早く妻の病気を治せたのではないかと悔やむ気持ちがあります。
これまでの私の職場でも過去8人のうつ病の部下、同僚を持った経験がありますが、私は「体が風邪をひくように、心も風邪を引くのだから気にすることはない」と言って、そのうちの6人に専門医に診てもらうよう勧めました。弊社ではかなり以前から心の相談日を設け、専門医が社員の悩みを聞き適切な対応しようという体制が整っていますが、そういうところにはなかなか本人は自分で足を運びたがりませんし、職場の上司もどうアシストしたらよいのかわからないケースが多いようです。男性の2倍はいるという女性のうつ病は家庭での対応が多いだけに更に難しいことです。
心の相談日を持ったり専門医に診てもらうといったハード面のサポートだけではなく、その人にどのように接するかなどソフト面の理解、教育が強く求められます。
職場も家庭もこの「心の風邪」を「心の肺炎」にする前に、早期に対処する努力が求められるとしみじみ思います。
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