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管理職の心構え
 
(その1)志を持つ

2019.5.12

管理職の人にとってなによりも大事なことは「志を持つこと」です。
世の中に仕事の効率的手法や役に立つ経験談など数多くあり、それはそれで役に立つスキルになるでしょうが、そういったものが活きるも活きないもすべてその人の持つ「志」によります。
その人がその所属する組織やお客さま、自分の部下のためどれほど貢献できるか、また仕事でどれほどの成果を挙げられるかはその人が持つ「志」次第です。
「志」が高ければスキルなどは自然にその後についてくるものです。
素晴らしい本に出会ったり役に立つ話を聞いても志を持たない人にとっては大して意味がないことです。自分の職場、お客さま、家族、友人、そういった中でどれほど信頼されるかは、その人がどんな志を持つかで決まるのです。

私は6歳で父を結核で亡くしました。
当時は結核といえば不治の病でした。18歳でお嫁に来た母はすでに4人の男の子をもうけていたのですが、27歳で未亡人となり一家の生計を支えるため叔父の卸商のお店で働きに出ることになりました。
毎日朝早くから夜遅くまで働きましたが、今考えると信じられないことですが、当時、一年のうち休みといえばお正月とお盆くらいのものでした。
その母を支えた「志」は父親のいないこの4人の男の子たちを立派な社会人に育てあげようというものでした。
そのため母はいつも「世のため人のために尽くす人になりなさい」「人を傷つけてはいけません」「嘘をついてはいけません」「間違ったと思ったら勇気をもってごめんなさいといいなさい」などと生きる上で大切なことを息子4人に言い続けていました。
私はそんな母の話を聞きながら、そうした人間にならなくてはならない、そして何か世の中の役に立つ人間にならなくてはといつも考えて育ってきました。
私たち兄弟は母の「志」のおかげもあり兄は北大、私は東大、双子の弟は2人とも東北大へと進み、それぞれ社会へ巣立っていきました。
私が人生で一定の評価を得られたのは母の教えがそれなりのものであったからではないかと感謝しています。
管理職には2つの使命があります。一つはその組織で成果を挙げること。もう一つは部下を成長させることです。
部下を持つ管理職はいわば子を持つ母のように部下の成長と幸せのために本気で指導に当たらなくてはなりません。
管理職は部下へのアドバイスや指導によって部下の人生にコミットする力を持っており、いわば一人の人間の人生を変える力を持っていると言ってもいいでしょう。
そのとき重要なことは部下のモチベーションを高めることです。結果に差をもたらすのは、能力というより熱意なのです。
そしてそうした努力の結果、部下が成長したり、やりがいを感じたりする、それが管理職の醍醐味であり生きがいでもあるのです。




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