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私はモノを捨てられない人に賛同しない

2023.11.26

近頃は高齢者向けの「断捨離」が話題です。長年溜め込まれたものを整理する「老前整理」や「生前整理」に人々の強い関心が集まっていると言います。
「物事は効率が第一。そのためには整理整頓が当たり前」と考えてきた私からすると、「なぜ整理整頓ごときでこれほど騒ぐのか」と不思議でなりませんでしたが、最近その壮絶な実態を耳にする機会がありました。かつての部下の妻の実家の話です。
部下の義母は夫を亡くしたあと一人暮らしをしていましたが、八十になったのを機に老人ホームに入居することになりました。
「持っていけない荷物を預かってほしい」と義母に頼まれ、部下の自宅で預かることになりましたが、運び込まれたダンボールの数は何と百以上。妻によれば、実家では五部屋のうち四部屋が荷物でいっぱいだったのだと言います。
いったい何をそんなに溜め込んだのかと尋ねると、そのほとんどが未使用の引き出物、貰い物、不要になった雑誌や書類。中学生だった妻宛てに書き留めた「冷蔵庫におやつがあるよ」というメモまでとってあると言うのです。
妻ができるだけ捨てさせようと苦心して仕分けするものの、ちょっと目を離したスキに義母が「捨てるもの」を「捨てないもの」に移してしまう。無理やり捨てるわけにもいかず、結果これだけの量になってしまったというわけです。
本人なりに捨てたくない理由があるのかもしれませんが、何でもかんでも溜め込むのは教養が欠けていると言わざるを得ません。捨てる捨てないを決めるとは、大事なものとそうでないものとを見きわめること。それができないということは、教養や知性を欠くにも等しいのです。
戦後世代の多くは「もったいない」が当たり前です。モノのない時代を生きてくれば、何でも捨てずにとっておきたいと思うのもわからなくはありません。
でも、どれほど大事でも所詮モノはモノ。死んであの世に持っていくことはできません。子どもたちに「悲しいガラクタ」を遺さないためにも、モノは思いきって捨てる・手放すを心がけるのが大事ではないでしょうか。
手放すということで言えば、高齢になったら「車の運転」を手放すのも必須だと思います。七十を超えたら運転免許証を返納するのです。
高齢になると間違いなく運転能力が落ちます。認知機能検査や高齢者講習なども行われますが、これをクリアしたからと言って安全運転ができる保証はありません。事実高齢者の運転によって死亡事故が引き起こされた例は枚挙にいとまがありません。
「地方では車がないと生活ができない」といった課題もありますが、人命を守るためにも今後高齢者の免許返納を義務づけていくべきだと思います。