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同調圧力を上手く乗り越える

2020.10.3

日本人は同調圧力に弱いと言われています。
同調圧力とは共同体や職場などある特定なグループにおいて意思決定、合意形成を行う際に少数意見を有する者に対し、暗黙の裡に多数意見に合わせるように誘導することを言います。
会社や学校などさまざまな集団の中で起こる心理的な圧力です。たとえば会社であれば、会議で独自性のある意見を言いづらい、仕事が早く終わっても自分だけ帰ることはできない、といったものが同調圧力にあたります。もちろん政治の世界にも色濃く出ています。
日本の社会に強い同調圧力があることについては、日本の文化や歴史に関係があるようです。
たとえば、昔から日本で大切にされているのが「和の文化」で、他人と衝突することはなるべく避け、和を尊ぶという考えが広く共有されています。
もう一つが「ムラ(村)社会」。歴史的に農業を中心とした社会では、お互いに助け合うための秩序が重視され、村の掟(おきて)やしきたりは絶対で、従わない者には「村八分」と呼ばれる制裁が科されました。 このようなことが、日本社会の強い同調圧力につながっているのかもしれません。
否定的な意味で使われることが多いようですが、同調圧力が適度に働く分にはメリットもあります。お互いに周囲に合わせようとすることで、チームワークがよくなり、「周りに迷惑をかけたくない」という気持ちが、頑張るためのモチベーションになったりすれば問題はありません。
今回のコロナ感染問題においては欧米で「マスクをしない自由を」という人たちがいるのに対し日本ではほとんど異議を唱えずみなマスクしたり、政府が「自粛」というとみな従うということで感染対策には有効に働いたと言えます。

しかし同調圧力が行き過ぎてしまえば、いわゆるダイバーシティの考えが働かず異端な人を排除したり新しいことに挑戦できなくなったり重要なアイディアをつぶしたりマイナスに働くことになります。コロナ問題では自粛警察やいじめなど負の現象も起きました。
考えてみれば私の場合、周囲のほとんどが長時間労働だったときにそれに反して自分と職場のスタッフがほとんど残業なしで帰るというのは周囲から変な目で見られがちで大変なことでした。
それを可能にしたのはコミュニケーションと仕事での成果でした。いかにして就業時間内に業務を終わらせられるかを部下全員で議論し、上司にはそれが可能なことを説明し了解を得るというコミュニケーションを密にすることを心掛けました。上司にしてみればどれぐらい残業したかというよりもいかに成果を上げたか関心事です。残業が減っても成果は残したという実績があれば問題にしません。
近年の日本企業では進取の気性のなさやオリジナリティの弱さが目立ちますがそれはなかなか異論を受け入れないということにもあるのでしょうがそれを乗り越える知恵とコミュニケーションが要ります。 ります。