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コロナ問題と働き方

2020.5.2

新型コロナウイルス感染拡大は第三次世界大戦?
いまやコロナウイルス問題は「第三次世界大戦」ともいうほどの大きな打撃を全世界にもたらしています。特に中小企業の経営は未曽有の危機でまさに阿鼻叫喚をきわめています。
私は民間会社や地方自治体などの依頼で多くの講演や研修をしていますが、コロナウイルスの影響で3月からの3か月間はすべての予定がキャンセルとなりました。
一方で、こんなときはWEBセミナーやWEB会議をしたいという話が出始めいくつか実施しています。
例えばあらかじめ申し込みをしてきた人に配信ツールを利用して提供するわけでスクリーンではなくモニターでの投影になります。
またWEB会議では遠隔地とインターネットを通じ映像・音声のやりとりや資料の共有などを行うことができ、最近はzoomが実際の研修や会議さながらだというので盛んになってきています。
オンライン関係の仕事をしている人たちはいま大忙しです。
コロナは院内感染が多発しているためオンライン診察を導入する病院がでてきました。
先日、家内が通院している病院は怖いので行きたくないというので電話したら時間を指定してくれ電話診察で対応してくれました。
オンラインではないのですがもう10年以上診察を受けている医師ですから電話でもよいようです。そしてその病院から処方箋を家の近所の薬局にFAXしてくれ簡単に薬を手に入れることができました。
電車に乗って行って待って診察し薬局に行って薬を受け取って帰るという3時間以上かかっていたことがあっという間に終わり不思議な気がしましたし相当得をした気持ちです。

デジタル社会の到来で社会は大きく変わる
コロナ騒ぎ以前からのことですが現在社会が大きく変わろうとしています。
デジタル社会の到来です。
私はしばしば東海道新幹線を利用しますが、スマホのEXでネット予約しますし用事が済んだとき予約した電車に乗れそうになかったら帰りのタクシーの中で次の電車に変更できます。私の自宅ではなかなかタクシーがつかまりませんでしたがタクシーアプリを使えば車は5分くらいで来ます。
飛行機もホテルもゴルフ場もネットを使えば瞬時に空いているところと値段がわかり予約も変更もできます、
アマゾンで注文すれば次の日に品物は届きますが、配達の予定日時が事前にスマホに着くので配達希望日時を変更できるという便利さです。
およそ人間が努力してできることを超えたデジタル社会が目の前に現れています。
ある生命保険会社が請求書業務処理にロボットを使い24時間365日稼働した(しかもミスがない)ことからは社員20人が不要になったといいます。いわゆるRobotic Process Automation (RPA)の一例です。
Fintechで銀行業務の激減が起こり金融市場の大変革が進行しています。
さらに今の幼児は自動運転の実現で将来車の免許取得が不要となるのではないかと予想されています。もしそうなったら教習所・タクシー運転手・警察・保険などの業務の多くが消滅するということになります。
デジタル化の特徴は処理が早く、分析可能のためこういう特性をもとに無料化ないし低価格化、そして個別対応化が実現できます。  
こうした技術革新による社会構造の変化は第四次産業革命 Industry4.0 と言われていますが、こうしたことに傍観していては企業は生き残れないのではないでしょうか。
そしてこのことが働き方を大きく変えていくわけですが、今回のコロナ問題はそれをさらに促進させることになると感じています。

テレワークは生産性向上と人材確保につながる  
今回のコロナ問題が起こってから多くの企業が在宅勤務・テレワークを推進しています。
テレワークの形態は3つほどあります。 
一つは「在宅勤務」で自宅を就業場所とする形態です。通勤の負担が軽減され、時間を有効に使えることから、育児や介護などの事情を抱える人には特に有効です。
2つ目は「モバイルワーク」で、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を利用して、場所を制限せずに働く形態です。外出先からオフィスに戻る必要がないため、営業職など外回りの業務で活用されています。
そして3つ目が「サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)」で本来の就業場所とは別の場所に設置されたオフィスで働くことです。
テレワークを導入すると育児や介護などの家庭に事情がある人材の活用ができ、居住地を問わない採用も可能になり、今回のような非常時でなくても人材確保のうえで大変有効な働き方になります。

テレワーク導入の問題点と課題
ところが総務省の統計によると90%の人がテレワークを望んでいるにもかかわらずそれを導入している企業は25%にとどまっています。なぜそうなっているのでしょうか。
それは主として以下のような理由です。

  1. テレワークできる業務がない
  2. 環境の用意(ICTなど)とセキュリティ対策ができない
  3. コミュニケーションが希薄になる
  4. 労働管理ができにくい
などですが、それぞれにその問題を回避する対応策を考えてみましょう
  1. テレワークの対象業務がないということですが、製造現場の多くでは確かにできにくいでしょう。しかしすべての業務が出勤しなければできないわけではないでしょう。業務の内容を十分に詰め可能な業務がないかきめ細かに探し出しましょう
  2. 社内の情報通信技術化とセキュリティ対策は時間とお金はかかりますが、Industry4.0の時代を迎え中小企業といえどもいつかは実現しなければならない課題です。コロナ問題を契機に(あるいはコロナ問題が終息したとき)トライしてみませんか。
  3. コミュニケーション不足のことですが、仕事の共有管理ツールやWEB会議システムなどのコミュニケーションツールを導入すれば可能です。出社日を指定して定期的に顔を合わせる機会を作ることも大事です。
  4. 労働管理のやりにくさことですが、確かにテレワークは正確な勤務時間の管理は難しいでしょう。しかし始業・終業時にメールや電話などで上司に報告させ、そのとき業務報告を行い相談事項やチームへの引継ぎなどさせるといったことでカバーできるでしょう。

現代社会には生産性を上げることができる有効な技術・ノウハウが数多くあり、すでにそれを採用し実効を上げている企業があります。
いつの時代も企業経営は難しいものです。コロナ問題を契機に働き方や業務改革に前向きにチャレンジしてみませんか。