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中国経済発展の原因は人口ボーナス期と貪欲さ

2020.10.3

先日大学時代の友人と話していたら「どうして中国経済はあのような発展を遂げたのか」という質問がでました。私は「人口ボーナスと中国人のもうけたいという強い願望からではないか」と答えました。 人口ボーナスというのは「総人口に占める働く人の割合が上昇し経済発展が促進されること」を意味し多くの国に当てはまります。
日本は人口ボーナス期に高度成長し世界第二位の経済大国になりましたが2005年に人口ボーナス期が終了し少子高齢化が進んでいます。
中国の場合、何しろ国が巨大で人口も多くボーナス効果は絶大で「労働力が豊富で低賃金」は外資系企業の進出を促しこれが経済成長に大きく貢献し「世界の工場」になりました。
(輸出入額における外資系企業の割合は6割です。また最近はマーケットとしても巨大です)
もう一つの理由は「儲けたい意欲・金持ちになりたい強い欲求」の存在ではないかと思います。
私は中国で5つの工場建設に関与しましたが中国人の金銭欲の強さにはやや辟易としたものです。
中国には多くの友人がいますがそのうちの一人精華大学の教授に依頼され精華大学で学生向けに講義したことがあります。
19時半からの開始予定でしたが約200名が入る大教室は満員、そのほとんどの学生は講義の始まる寸前までみな例外なく勉強をしていました。
それに学生たちは前の列から座っていきます。教授からは「講義の内容に興味がなかったら途中で退席する学生がいるが我慢してほしい」と言われました。
幸い誰も中途退席しなかったのですが、終わった後質疑応答になったとき前列1〜3列目の学生を中心に20数人一斉に手が上がったのには驚きました。
講義が終わって22時ごろ帰る途中ほとんどの教室はこうこうと電気が付いていて自習する学生でいっぱいでした。日本の学生ののんびりした勉強ぶりと違ったこうした中国の学生の行動は「世に出たら起業したり就職して成功したい」という強い意欲の現われではないかと思います。
中国高官の汚職は数百億円、数十億円という桁違いのものであり、あの清廉潔白とたたえられた温家宝ですら一族挙げて2150億円の不正蓄財をしたと報じられています。
アメリカに留学する学生は日本の数十倍と言われていますが、そういうことができる裕福な一族は資産を海外に移しています。儲けること、金持ちになることに対する強い欲求が強い分だけ勉強にも事業についてもハングリーになるようです。
(今年6月時点の時価総額ランキングでは米国企業は47社、中国企業は24社が入る一方で、日本企業は3社にとどまります)。
今後中国はボーナス期を終了し人口オーナス期に入ります。コロナ禍にあっても他国に比べると経済成長率は落ちていませんが、今後は従来のような高度成長は望めないでしょう。