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コロナ以後の世界

2020.5.26

昨日、大学時代の友人の松島克守東大名誉教授の俯瞰工学研究所「コロナ以後の世界を俯瞰する」という講演を聞きました。こういうご時世ですからzoomによるオンライン講義です。
俯瞰工学というのはいま社会が直面している極めて複雑な課題に対し適切な解決策を提案するためには、工学・医学・経済学・心理学など複数の学術領域の知識とその関係性の理解が必要であるとする学問です。
これは吉川弘之元東大総長の発議によるものですが、そういうことに着目したという先見の明があります。今回の「コロナ以後の世界を俯瞰する」の内容はその存在意義の面目躍如だと感じました。
特に私が感銘を受けたのは、『1.コロナ収束後も振り子は元に戻らない 2.人間中心の動き、新しい働き方、「新しい日常」が浸透する さらに 3.これから3−5年かけてやろうとした変革を1年以内にやり遂げる。まずDX(デジタルトランスフォーメーション)を年内にする、できる』
といった分析・主張でした。
しかし私自身が長いこと伝統のある企業で経験したことや世間で起こるさまざまな事象を見るにつけ(特に政治や企業のトップのありよう)、上の1〜3のことをそう願いながらもそう簡単ではないのではないかと感じています。
つまりコロナ問題が落ち着けばまた少し戻るのではないかという惧れです。
そのような心配を彼にメールしたらすぐ返事が来ました。
『だから大企業は落ちて行きました。あのGE、IBMでさえ。三菱重工のジェット機の事業整理のニュースは、長年の先延ばし、できない理由を言うだけで何もしなかった結果です。コロナ後は別の景色になっているでしょう。レナウンに続く企業も出てくるでしょう。百貨店業界の景色もコロナ後は変っているでしょう。伊勢丹三越? そして日産?コロナ後はV字はありませんから3−5年後の景色です。プレゼンテーションから外したスライドを添付しますがそこにあるように既に経済の主役は交代しています。そして日本の経団連企業の虚構と実態もわかります』
まさにその通りで時代を認識できず変革にもチャレンジしない企業・組織は衰退していくのでしょうし変化に合わせ行動する先進的企業・組織が社会を変えていくのです。
それにしてもいまどきコロナ感染者をFAXでやりとりしたりマイナンバー制度があるというのにオンラインでは10万円給付金の作業ができずに中止し郵送に切り替えるなどDX(デジタルトランスフォーメーション)どころかアナログでの業務をしている役所の実態をみると唖然としてしまいます。コロナの経験があっても日本は本当に変われるのか心配です。