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ワーク・ライフ・バランス: 2009年4月アーカイブ

長時間労働は「想像力」「プロ意識」「羞恥心」の欠如


私は、ムダな残業、休日出勤をやめさせるために、部下に次のようなメッセージを送ったことがある。

残業・休出問題について

佐々木

弊社の 一部の社員の時間外労働時間は、月40〜70時間を数える。シンクタンクの仕事は長時間労働になりがちであること、また残業の効用は十分認めるとしても、以下を読んで仕事に対するスタンスを改めて欲しい。
  1. 労働基準法36条に規定されているいわゆる36協定で、残業は月45時間を越えてはならない。それを超えるにはそれ相応の理由と手続きがいる。再建会社でもない現在の当社にはそれほどの長時間労働をしなくてはならない事情はない。労働に対する世の基準(法の遵守)に逆らう常識の欠如を感ずる。
  2. 仕事はコストと成果のバランスが常に求められる。生ずる成果に比べ多くのコストを投入する採算意識、バランス感覚の欠如を感ずる。
  3. 会社はプロの社員を求めているがプロとは、限られた時間の中で、いかに効率良く成果を出すかである。そのために事前の周到に考え抜かれた作業プログラムと最短コースで仕事を完遂させる能力が、日々試されている。 成り行きにまかせ、ただやみくもに時間をかけるのは プロのやることではない。
  4. 多くの残業を続ける結果、自分の健康を損ねたり、大切な家族とのコミュニケーション不足というマイナスが生ずるリスクを考えないことに想像力の欠如を感ずる。
  5. また、仕事以外の活動が、どれほどその人の人格形成に役立ち、幅広い仕事に繋がるはずなのに、そのことに目を向けない向上心の欠落もみられる。
  6. 自分で時間外の時間を記入し、上司に申請するということは、自ら所定の時間内では仕事ができないということを毎月表明していることであり、そこに羞恥心の欠如をみる。
  7. そのような部下を目の前にしながら、注意もせず、仕事の指導もせず、相談にも乗らない管理職に、責任意識の希薄さを感ずる。また、同じ会社の中で、同じグループの中で、残業の多い人と、ほとんどない人が存在するのは仕事の配分が間違っており、マネジメント不足である。
当社はこれから大きな飛躍に向かって、総力を結集し、一人一人が今まで以上に生産性を向上させねばならない。 今一度、仕事のプライオリティの設定と効率化を図ることを期待したい。


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なぜ長時間労働をするのか


残業理由の分析
先日 厚生労働省のHPを見ていたら残業理由の調査結果がのっていた。残業理由別にデータが並んでいて 一番多いのが「そもそも所定労働時間内では片づかない仕事量だから」(業務量が多い)で60%の人が回答していた。次いで多いのが「自分の仕事をきちんと仕上げたいから」(自分の仕事)という理由で42%、第3位は「仕事の性格上 所定外でないと出来ない仕事があるから」(仕事の性格)で36%、と続く これらの理由はどちらかといえば、会社や仕事の状況から残業せざるを得ないという理由である。

一方「残業手当や休日手当を増やしたいから」は4%で「定時で帰るより働いている方が楽しいから」は1%しかないことから「自分の都合で残業する人は 会社や仕事の都合で残業する人よりかなり少ない」と結論づけていた。

これらについて私の考えは以下の通りである。
まず「業務量が多い」が圧倒的に多い回答だが、業務量が多ければ減らせばいいのである。何度も言うが「仕事のタイムマネジメントと言うのは 最も重要なことは何かを正しく掴むこと」である。
「その人のプライオリティの高い順番に抱えている仕事の20%を遂行すれば、その人の全体の仕事量の80%に到達する(仕事のパレートの法則)」つまり業務量が多ければ 重要度の低い仕事を捨てることだ。
次に多い回答が「自分の仕事をきちんと仕上げたい」と言うことだが、そういう人には「きちんと仕上げなくて良い」というのが答えである。
会社にはつまらない仕事でもやらねばならない業務が多い。
その場合業務の達成度 (完成度) を低くして短時間で済ませることが大事である。
自分の仕事の見栄のために残業するなど会社にとっては迷惑千万である。「無駄なことをしないでとっとと帰ってくれ」と言いたいところだ。

この報告書の誤り
それからこの報告書の結論には大きな誤りがある。
それは残業手当を理由にした人は4%、家に帰るより会社にいる方が楽しいからは1%であるから「自分の都合で残業する人はほとんどいない」としていることだ。
私が課長になったとき、課員全員に原則残業禁止を言い渡したときの最大の抵抗勢力は部下であった。
その理由は3つある。
1つは「こんなに重要な仕事をしているのにそれを止めて帰れと言うのですか」ということ、2つ目はそれまで私の課の平均残業時間は50時間を越えていたため残業代が巨額でそれが彼らの生活設計になっていた。残業手当のことは皆口には出さないが残業する大きな理由だった。そして3つ目は「家に早く帰ってもする事がないから」である。
1つ目の理由は「私は課長として今、君がしている仕事は重要だと思っていないのでやめて帰りなさい」で終る問題であり、この点については部下の自主性などに任せず、管理職は毅然としてその権限を行使しなくてはならない。
2つ目の残業手当についてこの調査では「わずか4%としかないから主たる理由にはならない 」としたこの調査責任者の感受性のなさは驚くべきことだ。だれしもこのような調査に対し残業手当が理由です などと書くわけがない。
その組織全体の業務について責任を持っている管理職ならいざ知らず、残業しても残業代を払わないといわれて残って仕事をする若い担当者はほとんどいまい。
そして極めて大きな問題は3つ目の「家に帰ってもする事がない」と考える特に男性社員の人生観、生活態度である。
つまり彼らは ほとんど家庭や家族にコミットしていないのだ。
即ち「私 仕事してお金稼ぐ人、妻 家事育児をする人」というような考えを持っている人であり、そんな人は早く帰って家事や育児をしようなどとはじめから思っていない。
そういう意味で たしかに「定時で帰るより働いている方が楽しいから」ということには当たらないが「定時で帰ってもやる事もないから会社にいる」ということであってそれはとりもなおさず「働いているほうがよいから」という意味で「自分のためにしている」ということになる。こういう人間は会社にとって実に迷惑な存在であり定時に帰すよう あの手この手で追い出さねばならない。


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