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ワーク・ライフ・バランス: 2008年7月アーカイブ

ワークライフバランス

私はWAVE出版から「ビッグツリー-私は仕事も家族も決してあきらめない」という本を出しましたが、それは次のような書き出しで始まります。
「神様は私に試練を与えたというか、ちょっといたずらをされたようだ。私の長男は自閉症という障害を持って生まれ小さい頃から手がかかり、私は幾度となく学校へ行かなければならなかった。また私の妻は肝硬変のため何度も入院を余儀なくされ、そのため妻としての役目を果たしていないという自分への責めや障害の長男のことなどが原因で、うつ病を併発してしまい入院は40回を超え3度の自殺未遂まで引き起こしてしまった。
一方、会社では、まるで私の力を試すかのように転勤が繰り返され、東京と大阪を6度も異動したものである」
 
重荷を背負った人は意外に多い
私が本を出版したあと何と多くの人たちが「実は私の家族も」と自らの苦境を話してくれたことでしょう。
それは私が自分の家族の障害や病気の話をオープンにし、それがどうしたという態度だからかもしれません。
皆、職場には隠しているが家庭に問題を抱えている人は意外に多いようです。
日本には自閉症が100万人、うつ病が500万人いるといわれており、身体障害者は350万人、ダウン症は10万人、それにアルコール依存症240万人、不登校引きこもり120万人、シングルマザー50万人、認知症200万人などを加えると何と多くの社会的弱者がいることでしょう。
その家族はそれぞれ日々戦いの生活を送っています。また子育てをしながら限られた時間の中で懸命に仕事をしている女性も多い、にもかかわらず、日本の社会は健常者とか健全な家庭を持つ男性を前提として運営されていないでしょうか。

仕事はもっと戦略的に
自分の家族の為だけではなく誰もが会社以外の私生活を充実させることを求めています。
それを妨げている最大の要因のひとつが長時間労働と非効率労働であり日本の多くの会社に見られる悪弊です。仕事の成果と長時間労働とは必ずしも比例しません。仕事に取り組むときにはもっと戦略的にプランニングし、脳細胞をフルに使ってより効率的に遂行しなくてはなりません。
最初に妻が3年ほど入院したとき、子供たちは中学2年、小学6年、5年でした。ウィークデーは毎朝5時半に起き3人分の子供の朝食と弁当を作り、人より1時間早く会社に出社し、子供たちの夕食のため、夕方6時に会社を出る。休日は一週間分の洗濯、掃除、買い物をし、病院への見舞いをする。会社では会議は半減、資料はシンプルで事前配布、不要な業務の切り捨てなど極限までの業務の効率化に挑戦したわけですが、頭を使えば一般の会社の仕事程度は半分くらいの時間でできるのではないかと思います。
仕事にどっぷり浸かって、寝ても覚めても仕事のことを考えないと本物にはならないという人もいます。それはある面では正しいですが、上司の指示の不適切さ、己の要領の悪さなどで、相当無駄な時間が費やされていることがしばしばあることを忘れてはならないと思います。 


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男の働き方を変えよう

ワークライフバランスに冷ややかな経営者
10月26日、永田町の全国町村会館で「男の働き方を変えよう」というシンポジウムに4人のパネラーのうちの1人として出席しました。男性の参加者は少ないのではないかという私の予想に反して会場一杯の参加者、それも多くの男性の姿がありました。
司会者が「この中で業務として来た人」と聞いた時、約半数の人が手を挙げました。
日本の会社でもワークライフバランス、女性の活用、両立支援に関心を持ち始めたということでしょう。
パネラーの中の1人は2005年日本の合計特殊出生率1.26という数字をあげ、男性が会社の仕事ばかりして家庭を省みないため、女性に育児負担が集中することが少子化の1つの原因になっていると力説していました。私以外の3人のパネラーのうち2人は子育てのため転職したりして家族との触れ合いの時間を自ら作り出していました。
ワークライフバランスについては行政からの提案、各企業での試行錯誤、個人の具体的な行動などさまざまな試みがされていますが、多くの企業はなかなか重い腰をあげようとしませんし賛同する男性社員も多くはいません。
何故でしょう。経営者や会社の管理者層の多くが「職場の多忙は日本企業の競争力の源泉」「寝てもさめても仕事を考えることを経て人は育つ」と考えていますし、また、「非正規社員の穴を埋めるのは正規社員」「育児支援などは企業のコストアップ」と考えているようです。本当にそうでしょうか。

経営戦略としてのワークライフバランス
なぜ今ワークライフバランスなのかといいますとひとつは長時間労働を強いられる(自らする?)人たちは肉体的にも精神的にも疲れ切っていて自分の時間も持てず満足感やロイヤリティが低下している状況にあります。このような人たちの集団が、この厳しい競争社会で勝ち抜けるとは思えないのです。
二つ目は、限られた時間の中ではどうしても計画的にまた効率的に業務遂行をせざるを得ないため生産性が向上するということがあります。
そして三つ目は働きやすい会社という評価や評判は優れた若い人たちの入社を誘いますし、社内で育った人材には帰属意識の醸成につながり定着率も高くなるという効果があります。
そういう意味でワークライフバランスというのはすぐれて重要な経営戦略といえます。
ただ私の場合は「ワークライフバランス」などという優雅なものではなく「ワークライフマネジメント」ともいうべきメリハリの求められる厳しい生活でしたが。


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