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2009年4月アーカイブ

一歩先行の行動を


「早寝・早起き・朝ごはん」 何でも一歩先に行動を
私には、昔から早寝早起きの習慣があるが、妻が急性肝炎で3年ほど入院したときにこの習慣がほぼ確定した。なにしろ、小さな子ども3人の世話を私ひとりですべて担わなければならなくなったのだから...。
起床は早朝5時半。家族の朝ごはんと弁当を作ってから出勤する。8時に出社し、課長職だったので課員が出てくる9時までの間に、一日の自分と課員の仕事の計画と分担を決め、お昼までに一日の半分の業務をこなすつもりでダッシュ。夕方6時に退社する。帰宅してからは、夕食を作り、子どもをお風呂に入れ、宿題や翌日の準備をさせ、寝かしつけ、その後で持ち帰った仕事をするという目の回るような忙しさだった。そして、朝が早いので、私も11時少し前には寝た。
しかし、朝早く起きるといいことがたくさんある。
朝7時前には家を出るので、通勤の電車ではゆっくりと座れるし、新聞を読んだあとに、若干の仕事をすることができる。
8時に出社すると、9時過ぎまで誰にも邪魔されず、仕事に没頭することができる。
皆が出社してくる前に、その日一日のさまざまなことを想定して先手で仕事の準備ができるということである。

昼食は12時10分前に向かう
昼食も"一歩先"を励行している。
私は必ず12時10分前には部下を誘って会社を出ることにしている。12時前ならば、どの店も空いているしお店のほうも「今か今か」と客を待っている状態なので、オーダーすればすぐ目の前に食事が出てくる。食事中は、その日のニュースやスポーツの話するが、昨日の会議の結果なども伝える。いわば簡単なランチミーティングができるのだ。
食事が終わって席に戻るのが12時15分頃。
その結果、私は昼休みが終わるまでの45分間を仕事時間として活用できる。
12時になってから昼食に出るとこうはいかない。まず、エレベーターがなかなか来ない。全社員が一斉に昼食に向かうのだから当然である。行ったお店も混んでいて、すぐには座ることができず、やっと食べ終わって会社に戻るともう1時近い...。
人は昼食を毎日摂る。毎日毎日同じことの繰り返しなのに、なぜ12時のチャイムが鳴った後で出かけるという、そんな愚かなことを続けるのか私には理解できない。少し早く行動することで30分以上も時間を稼ぐことができるのに。
私は、夕方6時頃に会社を出るが、朝8時から9時の朝の能率の良い1時間と昼休みの45分間、合わせて約2時間は他の人より多く仕事をすることができる。言ってみれば、夜8時まで残業しているのと同じことなのだ。そして、この習慣を20年以上も続けているのだから、そうでない人よりも何千時間も得をしてきたことになる。
早起きするかしないかは、その人の体質とも相談しなくてはならないことで、すべての人に当てはまるわけではない。しかし、早く起きるといいことが多い。


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最初に仕事の「鳥瞰図」を描く


全体構想を描き出す
私が、中期計画や設備投資の発案書を策定するときに、いつも実行していた「全体構想図」をご紹介する。
このような大きなプロジェクトの企画書を作成するとき、私はA3の大きな紙を用意する。そして、4つのスペースに区分して、それぞれのスペースに資料1ページ分の情報を書き出す。資料の縮小版4ページ分を1枚の紙に貼り付けるようなイメージである。
例えば、設備投資の発案書ならスペース(1)に「本投資計画の狙い」「投資効果」、スペース(2)に「事業の環境認識」「競争他社との比較、当社の強み弱み」、スペース(3)に「設備投資の概要」、スペース(4)に「生産・販売計画」といった具合に、4ページ分を一枚の紙に書き出すわけである。
このようにすると、全体で6〜8ページで構成される資料が、A3用紙2枚にすべて入ることになる。こうすることによって、いわば鳥瞰図ができ上がって、実に見晴らしがよく、全体のストーリーが適切かどうかがよくわかってくるのだ。
それぞれのスペースに大まかな項目とキーワード、あるいは簡潔な文章を書き入れることによって、他の人が読んでも内容がわかるようにしておくと便利である。
それができ上がると、そのコンパクトな資料を使って、過去の優れた発案書や企画書と比較したり、検討チームのメンバーとディスカッションをしながら、全体構成を決定していくと効率的に仕事を進めることができる。
ついでに言うと、別添資料を付けるのであれば、何を資料として添付するかを作業に入る前に決めておくことをお奨めする。
たとえば、

1 本製品の世界および日本の市場規模とマーケットシェア
2 本製品の売上高・利益の実績と計画 損益分岐点
3 競争企業との比較
4 本投資計画の不安要因

という添付資料をあらかじめ決めてしまう。

あとは分担とスケジュール
このようなスケルトンができ上がったら、あとは分担とスケジュール(デッドライン)を決めたらよいだけなので、作業が効率的に進むし、チーム全員が情報を共有できるというメリットも生まれる。
このような作業をするときに多くのムダが発生する原因は、「最終の姿」を決めずに、「あれもこれも」と場当たり的に資料を作成していってしまうことにある。その結果、繋いでみたら全体として整合性のない資料になってしまうことが多い。それで作り直しなどということになったら、目も当てられない。
あるいは、資料が多すぎるということで、せっかく作ったペーパーを削除してしまったりすることもある。結局、その資料をつくる作業がムダだったということになってしまう。
資料づくりは全体構想を描いてから進める計画的であることが望ましい。


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長時間労働は「想像力」「プロ意識」「羞恥心」の欠如


私は、ムダな残業、休日出勤をやめさせるために、部下に次のようなメッセージを送ったことがある。

残業・休出問題について

佐々木

弊社の 一部の社員の時間外労働時間は、月40〜70時間を数える。シンクタンクの仕事は長時間労働になりがちであること、また残業の効用は十分認めるとしても、以下を読んで仕事に対するスタンスを改めて欲しい。
  1. 労働基準法36条に規定されているいわゆる36協定で、残業は月45時間を越えてはならない。それを超えるにはそれ相応の理由と手続きがいる。再建会社でもない現在の当社にはそれほどの長時間労働をしなくてはならない事情はない。労働に対する世の基準(法の遵守)に逆らう常識の欠如を感ずる。
  2. 仕事はコストと成果のバランスが常に求められる。生ずる成果に比べ多くのコストを投入する採算意識、バランス感覚の欠如を感ずる。
  3. 会社はプロの社員を求めているがプロとは、限られた時間の中で、いかに効率良く成果を出すかである。そのために事前の周到に考え抜かれた作業プログラムと最短コースで仕事を完遂させる能力が、日々試されている。 成り行きにまかせ、ただやみくもに時間をかけるのは プロのやることではない。
  4. 多くの残業を続ける結果、自分の健康を損ねたり、大切な家族とのコミュニケーション不足というマイナスが生ずるリスクを考えないことに想像力の欠如を感ずる。
  5. また、仕事以外の活動が、どれほどその人の人格形成に役立ち、幅広い仕事に繋がるはずなのに、そのことに目を向けない向上心の欠落もみられる。
  6. 自分で時間外の時間を記入し、上司に申請するということは、自ら所定の時間内では仕事ができないということを毎月表明していることであり、そこに羞恥心の欠如をみる。
  7. そのような部下を目の前にしながら、注意もせず、仕事の指導もせず、相談にも乗らない管理職に、責任意識の希薄さを感ずる。また、同じ会社の中で、同じグループの中で、残業の多い人と、ほとんどない人が存在するのは仕事の配分が間違っており、マネジメント不足である。
当社はこれから大きな飛躍に向かって、総力を結集し、一人一人が今まで以上に生産性を向上させねばならない。 今一度、仕事のプライオリティの設定と効率化を図ることを期待したい。


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なぜ長時間労働をするのか


残業理由の分析
先日 厚生労働省のHPを見ていたら残業理由の調査結果がのっていた。残業理由別にデータが並んでいて 一番多いのが「そもそも所定労働時間内では片づかない仕事量だから」(業務量が多い)で60%の人が回答していた。次いで多いのが「自分の仕事をきちんと仕上げたいから」(自分の仕事)という理由で42%、第3位は「仕事の性格上 所定外でないと出来ない仕事があるから」(仕事の性格)で36%、と続く これらの理由はどちらかといえば、会社や仕事の状況から残業せざるを得ないという理由である。

一方「残業手当や休日手当を増やしたいから」は4%で「定時で帰るより働いている方が楽しいから」は1%しかないことから「自分の都合で残業する人は 会社や仕事の都合で残業する人よりかなり少ない」と結論づけていた。

これらについて私の考えは以下の通りである。
まず「業務量が多い」が圧倒的に多い回答だが、業務量が多ければ減らせばいいのである。何度も言うが「仕事のタイムマネジメントと言うのは 最も重要なことは何かを正しく掴むこと」である。
「その人のプライオリティの高い順番に抱えている仕事の20%を遂行すれば、その人の全体の仕事量の80%に到達する(仕事のパレートの法則)」つまり業務量が多ければ 重要度の低い仕事を捨てることだ。
次に多い回答が「自分の仕事をきちんと仕上げたい」と言うことだが、そういう人には「きちんと仕上げなくて良い」というのが答えである。
会社にはつまらない仕事でもやらねばならない業務が多い。
その場合業務の達成度 (完成度) を低くして短時間で済ませることが大事である。
自分の仕事の見栄のために残業するなど会社にとっては迷惑千万である。「無駄なことをしないでとっとと帰ってくれ」と言いたいところだ。

この報告書の誤り
それからこの報告書の結論には大きな誤りがある。
それは残業手当を理由にした人は4%、家に帰るより会社にいる方が楽しいからは1%であるから「自分の都合で残業する人はほとんどいない」としていることだ。
私が課長になったとき、課員全員に原則残業禁止を言い渡したときの最大の抵抗勢力は部下であった。
その理由は3つある。
1つは「こんなに重要な仕事をしているのにそれを止めて帰れと言うのですか」ということ、2つ目はそれまで私の課の平均残業時間は50時間を越えていたため残業代が巨額でそれが彼らの生活設計になっていた。残業手当のことは皆口には出さないが残業する大きな理由だった。そして3つ目は「家に早く帰ってもする事がないから」である。
1つ目の理由は「私は課長として今、君がしている仕事は重要だと思っていないのでやめて帰りなさい」で終る問題であり、この点については部下の自主性などに任せず、管理職は毅然としてその権限を行使しなくてはならない。
2つ目の残業手当についてこの調査では「わずか4%としかないから主たる理由にはならない 」としたこの調査責任者の感受性のなさは驚くべきことだ。だれしもこのような調査に対し残業手当が理由です などと書くわけがない。
その組織全体の業務について責任を持っている管理職ならいざ知らず、残業しても残業代を払わないといわれて残って仕事をする若い担当者はほとんどいまい。
そして極めて大きな問題は3つ目の「家に帰ってもする事がない」と考える特に男性社員の人生観、生活態度である。
つまり彼らは ほとんど家庭や家族にコミットしていないのだ。
即ち「私 仕事してお金稼ぐ人、妻 家事育児をする人」というような考えを持っている人であり、そんな人は早く帰って家事や育児をしようなどとはじめから思っていない。
そういう意味で たしかに「定時で帰るより働いている方が楽しいから」ということには当たらないが「定時で帰ってもやる事もないから会社にいる」ということであってそれはとりもなおさず「働いているほうがよいから」という意味で「自分のためにしている」ということになる。こういう人間は会社にとって実に迷惑な存在であり定時に帰すよう あの手この手で追い出さねばならない。


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隙間時間を使い切る知恵を


バカにできない「隙間時間」 カバンに4つのファイルを
 私は現在、横浜市の綱島に住居を構えている。自閉症の長男の施設の関係があって、どうしても横浜に住みたかったのだ。勤務地は千葉の浦安である。
通勤は、東急線--日比谷線--京葉線と3本の電車を乗り継いでいくが、片道約1時間半の道のりである。7時前には家を出るので、通勤電車は大変空いている。東急線の中目黒駅で乗り換えるのだが、日比谷線の始発駅なので1列車見送れば座っていくことができる。京葉線も通勤ラッシュとは反対方向なので座れる。
この「隙間時間」を仕事に活用しない手はない。私は、通勤時間1時間30分の最初の30分で日経新聞を読むのだが(もう一紙は朝食のとき読み終える)、残り1時間は仕事タイムとして使う。そのため、私のショルダーバッグには、いつもクリアファイル4個を入れている。つまり、4種類の仕事をいつも持ち歩いているのだ。
したがって、往復2時間は私の仕事タイムになっているのだ。
通勤時間だけではない。内閣府や国交省の審議会に出席するために、しばしば霞が関に行くが、その移動中も業務時間である。あるいは、会議と会議の間に少しでも「隙間時間」が生じると、すぐにショルダーバッグから書類を取り出して仕事にとりかかる。この原稿も、この「隙間時間」にだいぶ書き進めることができた。
この「隙間時間」はバカにできない。「隙間時間」を積み重ねることによって時間は驚くほど増大するのだ。

「隙間時間」に眠るのはもったいない
私は、基本的にはムダな会議には出席しないようにしているが、立場上、止むを得ず出なければならない会議もある。そんなときには、この4つのファイルが活躍する。つまり、会議中に"アルバイト"をするわけだ。半日ほどの無用な会議の中で、2つくらい大きな仕事が完成するのだから侮れない。
しばしば乗る新幹線などは、絶好の仕事タイムである。なにしろ、電話も来ないし、他人の邪魔も入らない。「時間予算」(自分の時間のうち使える時間)は30%ではなく100%なのだ。通勤時間や新幹線で私は眠ったことがないが、驚くことにかなりの乗客が居眠りをしている。なんともったいないことだと思う。

仕事は発生したその場で片付けろ----現場主義
レポートや議事録などの書類を「後でじっくり書き上げよう」といって、後回しにしていないだろうか? それでは、効率的な仕事はできない。
私はスタッフの仕事が長かったため、経営会議などの事務局を数多くこなしてきたが、その議事録は不十分でもよいから、とにかく必ずその日のうちに書き上げることにしていた。1日経つとそれだけ記憶が薄くなるし、精度も落ちてしまうからだ。
プラスチック事業の企画部長のとき、グローバル化の仕事に取り組んだ。
なにしろ3年間で全世界で12件、約1000億円の設備投資を実行した時期である。毎月のように海外出張をし、毎月のように発案書を書いていた。そのような時期に、例えばニューヨークから日本へ戻る飛行機が離陸した後、1時間半で出張レポートを書き上げるわけだ。
本当は疲れているのでアルコールでも飲んで眠りたいところだが、そんなことをして帰国すると大変である。留守の間に溜まった1週間分の書類と部下の相談事、そして上司の指示が待っている。それらに対応しているうちに、どんどん日は経っていく。記憶も薄れ、出張リポートの品質は劣化していくわけだ。
こうしたやり方を私は「現場主義」と呼んでいる。仕事は現場で片付けることがスピードアップに繋がるし、仕事の精度も高まるのである。
大阪で会議をしたあと、東京へ戻る新幹線の中で会議のポイントを簡単にメモする。来客があったり、打ち合わせをしたあと、次の仕事にとりかかる前にその内容を振り返ってメモを書く。会議が終わって自分の職場に戻ったら、その会議で議論されたテーマについてのメモ(もちろん会議の最中に書く)をコピーして、すぐ関係者を呼んで結論や指示を伝える、といった具合である。
「現場主義」の徹底は、仕事を効率的にする。


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