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ビジネスマンのための論語
 
ビジネスマンのための論語(9回)

2015.11.3

子曰く、天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知るものは其れ天か


 孔子は常に、自分は天才ではないという。学問を習得することに自ら努力できることが自分の持つ才能で、成功の秘訣は成功するまでやり続けることであると言う。
 会社の仕事も同じで、ほとんどの人は入社したとき与えられた仕事を面白いとか楽しいとか感じることはなく、生活のためとか仕事だからという気持ちで取り組んでいく。与えられた仕事を一生懸命続けていくうち、次第に仕事が面白くなっていく。そしてさらに努力していくと、また高みに上っていく。
 どの世界でも楽をしながら一流になることはできない。
 野球のイチロー選手も、サッカーの本田圭佑選手や香川真司選手も、みな人より多くの努力を積んで腕を上げていったはずだ。
 会社の中でも優れた仕事師は努力家である。朝早くから会社に来て、先輩の優れたところを盗み、知恵を絞って行動することに努力を惜しまない。
 どんな仕事でも面白いことや興味のないことがある。自分がやりたい仕事に希望通りつける人など、ほとんどいない。多くの人は、多かれ少なかれ今の仕事に満足しているわけではない。
 しかし、仕事というものは工夫し、一生懸命努力しているうちに少しずつ面白くなってくるものだ。

子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず


 ―仕事を知識として知っている人は、仕事を好きだと思っている人には及ばない。また仕事が好きな人は、仕事を楽しむ人には及ばない。
 勉強や仕事というのは、たとえ能力があっても、イヤイヤしているのではいい結果が出ない。逆に才能はなくても、仕事が好きな人は成長が早いし、長続きもする。
 人は何のために働くかと言えば、まずは生活のためであろう。しかし仕事を何年も続けていけば、たいていのビジネスマンは次第に仕事が好きになってくる。仕事というのは繰り返しているうちに慣れてくるし、いくつか成功体験をしているうちに自然と興味が増してくるものだ。
 前に紹介した章句は、人は努力することが大事だと言っており、もちろんコツコツ頑張ることは大切だが、仕事を好きになったら成長が加速するのだから、早く好きになる方がいい。
 私の会社時代の主な仕事は企画や管理であった。担当する事業の予算を作ったり、設備投資の発案をしたり、新事業の企画をしたりなどといったことだ。
このような仕事を何度もしているうち、仕事にはパターンがあって、そのパターンをマスターしていくと効率的にできるようになることがわかってきた。工夫するとさらにスピードが上がり、結果がついてくることも知った。そうした自分の成長を実感すると、仕事が好きになっていく。
 プラスチック事業の担当をしていた時のこと。最初に投資したのはインドネシアとマレーシアだった。その後、タイ、アメリカ、フランス、中国にと矢継ぎ早に設備投資を実行していった。自分のお金でもないのに投資の発案をすると会社は許可してくれる、工場が作られる。こんな面白いことはない、というわけで嬉々として毎月のように海外出張に出て、次々と発案書を書いていった。夢中で作り続けていたら、二年半で累計1000億円の投資になってしまった。その当時のプラスチック事業の規模は1600億円だったのに。


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