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障がい者の自立支援を

2016.10.10

鉄道身障者福祉協会「リハビリテーション」へのコラムを紹介します。

私は「そうか君は課長になったのか」や「働く君に贈る25の言葉」など企業で働くビジネスパーソンに働き方や働く意味などについて語りかける本を出版してきた。
そのなかでタイムマネジメントも重要だが、人は能力も性格もみな違うのだからその人に合った対応や働き方をしなければならないと訴えてきた。
こういう考え方を多様性の受容つまりダイバーシティという。

私はかつて内閣府の男女共同参画会議の議員をしたことがある。
男女共同参画社会基本法の中に、男女共同参画が目指すべき社会というのは「男女の人権が尊重され尊厳を持って個人が生きることができる社会」であり、「男女が個性と能力を発揮することによる多様性に富んだ活力ある社会」であると規定している。
ここで「男女」と言っているが、私はこの基本法の精神はもっと広くとらえるべきと考えている。
それは男女だけではなく、同じ男性の中でも、あるいは外国人でも、障がい者でも、つまり「すべての人が」ということである。
日本には身体障がい者と精神障がい者は厚生労働省の統計によると750万人いるといわれている。このうち民間企業で働いている人はわずか40万人に過ぎず、ほとんどの人が施設や自宅にいる。
働きたいのに働けないのが実態である。
障がい者雇用比率は2%であるが企業によっては障がい者を雇うくらいなら罰金を払おういうところもある。日本の社会というのは障がい者を締め出して成り立っているのではないかとさえ感じてしまう。

企業は「この仕事を障がい者にしてもらおう」としているが、「その障がい者は何ができるのか、どうしたらできるのか」という視点で対応すべきである。。
「男女」ではなく「健常者も障が者も人権が尊重され尊厳をもって個人が生きることができる社会」「健常者も障がい者も個性と能力を発揮することによる多様性に富んだ活力ある社会」を目指し。一人でも多くの障がい者の自立支援につなげたいものである。

(2017年1月発行。NO.591に所載)